地域で自慢の味があるご当地ヌードル、ラクサ Which Laksa do you like?
※2020年1月14日更新
マレーシアのラクサLaksaは、日本のラーメンと同じように地域によっていろんな味があります。たとえば、ペナンで育ったマレーシア人が、クアラルンプールでラクサを注文して「えっ、これラクサじゃない!」と驚いたというのはよくある話し。ペナンラクサとクアラルンプールのラクサは別もの。つまりラクサはご当地麺なのです。
マレーシアのラクサを簡単にまとめてみました。
マレーシアは麺パラダイス。なかでも人気なのが「ラクサ Laksa」。マレーシア全土、どこでも食べることができる
ラクサのスープをおおきくわけると2種。魚だしをベースに酸味(Asam)を加えたさっぱり系。そして、海老や鶏のスープにココナッツミルク(Lemak)を加えたクリーミー系。どちらも唐辛子入りで刺激的な辛さがあります。具は海老、鶏肉、魚のほぐし身、卵、フィッシュボール(つみれ)など。
人気のラクサの特徴をひとことでいうとこんな感じ。
Asam系
ペナンラクサ :米の丸太麺にサバやアジなど青魚でつくる酢っぱ辛いスープ麺
ケダラクサ :魚だしに酸味を加えたさっぱり味。スープ麺というより、つゆだく麺
Lemak系
ニョニャラクサ :海老スープにハーブやココナッツミルクを加えてじっくり煮込んだスープ麺
サラワクラクサ :サラワク州のご当地麺で胡椒と山椒の香りがきいたサラサラカレー麺
カレーラクサ :スパイスの香り豊かなココナッツミルク味のカレー麺
Asam + Lemak
ジョホールラクサ :麺がスパゲティで海鮮スープをかけるという味、食べ方ともに個性派
ラクサム :クランタン州のご当地麺で魚だしにココナッツミルク、ロール状の麺が特徴的(Asamひかえめ)
※上記のラクサ名をクリックすると、それぞれの詳しい説明記事にとびます。
そのほかこんなラクサもあります。
トレンガヌラクサ :魚だしにココナッツミルク、さらにサンバル、やし砂糖を混ぜた甘辛のスープ
クランタンラクサ :ラクサムと同じスープで、麺がほかのラクサと同じ太ビーフン
ペルリスラクサ :ケダラクサと似ていて、ちまき(もち米で中に海老入り)と一緒に食べる
ラクサテルックチャイ :ケダラクサと似ているが、ココナッツサンバルが必ずのっている
ラクササランブルン :網状に揚げたサクサクの卵が具。それが鳥の巣のようなので名前に
パハンラクサ :ケダラクサに似ていて、さっぱり味の魚のスープ
炒めラクサ(Fried Laksa) :店によってはラクサを炒めてくれる。KLに有名店があり、そこはアッサム味
※ケダラクサとペルリスラクサを合わせて「ラクサウタラ Laksa Utara」=北のラクサとよぶ
ちなみに、ラクサの語源には2つの説があり、“多数”や“十万”を意味するサンスクリット語に響きが似ていることから、調理に使う食材が多種であることをさしている説。もうひとつは古代ペルシャ語のLakhshaという、つるつるした麺をさす言葉。中央アジアの麺のラグマンやイタリアのラザニアと同じ語源です。
さて、ここまでいろんな味があると、いったいラクサとは何ぞや?という疑問が湧きます。もともとは、米の麺に魚のスープを使ったものをラクサとよび、肉を使っていないため宗教を問わず国民に受け入れられた、とか。現在は、鶏スープでコクをだしたり、卵麺を使ったりと、地域性に加えて店それぞれに自慢の味があり、多種多様なラクサがうまれています。
また、歴史的にみると、19世紀以前、イギリスの占領下になる前のマレーシアは、ひとつの国ではなく小さな王国の集まりでした。ラクサだけでなく、マレーシア料理に郷土色が強いのはこのためで、土地ごとにさまざま料理があります。海に囲まれたペナンでは魚を使ったラクサ、胡椒の産地サラワクでは胡椒をスパイスに。ラクサという1杯には、その土地ならではの食材や風土、受け継がれてきた歴史がぎゅっと詰まっているのです。