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マレーシアのカレーを知ろう!

Curry Culture in Malaysia

※マレーシア文化通信『WAU』29号より(加筆・修正済み)

 マレーシアは、知る人ぞ知るカレー大国です。ご飯にかけるカレーからおやつカレー、カレー麺まで。町中の店では、朝から晩まで、なかには24時間カレーを提供するところもあります。インドから伝わり、多民族国家ならではの発展を遂げているマレーシアカレーの特色を5つのポイントで紹介します。


FEATURE ▽  特色#01
インドとの交易がもたらしたカレーは
マレーシア人のふだんの食事

 マレーシアは、マレー系、中国系、インド系とおもに3つの民族が暮らす多民族国家。食の好みは民族や個人によってさまざまですが、カレーは国民食といってもいいほど人気の料理です。古くから交易でインド文明の影響を受けていたマレーシアには、スパイスを使ったカレーに似た伝統料理が多数あります。そして19世紀ごろ増加したインドからの移民によって、バナナリーフカレー (#下記に注釈あり)やティファン(軽食のこと)など本場インドの味がもたらされました。暑い気候下でも食欲をかきたてる香りの強いカレーは、年中気温の高いマレーシアの風土とも相性バッチリです。

 カレーはマレー語で「Kari」ですが、インド系屋台では「Curry」と表現され、どちらもマレーシア人の日常食になっています。ちなみに、カレーに似た料理にグライ (#) 、ルンダン (#) があり、それらも人気のスパイス料理です。

マレーシアのカレーはとっても種類豊富なので、毎日カレーでも飽きない


【FEATURE ▽  特色#02
マレーシアカレーとはなに?
多種多彩な“スパイスカレー”である

 マレーシアのカレーは、多種のスパイスを組み合わせて作ります。熱した油にスパイスを加えて香りを立たせ、玉ねぎとにんにくを炒めたら、さらにスパイスを加えるという調理法が一般的。インドのカレーの作り方に似ていますが、数種のスパイスがあらかじめミックスされた市販のカレーパウダーを使うことが多いです。香りのポイントは、クミンとカレーリーフ。とくにカレーリーフは、カレー以外の料理にも多用されるほど好まれる香り。ココナッツミルクやタマリンドでまろやかな風味に仕上げたり、ニョニャ料理 (#) のカレーではブラチャン(発酵エビ)を使い、コクを出すこともあります。

 カレーの種類は、鶏、地鶏、羊、カツオ、イカ、海老、魚頭、卵、魚卵、豆など。カレーは単体で食べるというより惣菜のような存在で、いくつか組み合わせるご飯のおかずの一つとして提供されています。人気の店はナシカンダー (#) 。一皿に複数のカレーのあいがけは当たり前。ビニール袋でカレーのお持ち帰りもできます。

店頭に並ぶカレー。料理名を知らなくても指さしで注文できる多民族国家ならではの仕組み

カレーはおかずであり、ソースでもあるので、ご飯に汁だけかけたりもする

ヘルメット姿で現れたのは、バイクで訪れて料理を持ち帰る人。手際よく包んでもらい、颯爽と帰っていった


FEATURE ▽  特色#03
朝カレーはあたり前
一日はロティチャナイから

 朝食や小腹が空いたときの軽食として親しまれているのがロティチャナイ。小麦粉にマーガリン(またはギー)、塩、水を加えてこねたもので、中はモチッ、外はサクッとした絶妙の食感。カレーソースにつけて食べます。注文すると、職人が生地をくるくる回しながら薄くのばす姿は、まさにライブクッキングショーさながらで、一見の価値あり。ロティチャナイのほか、チャパティ、ナン、トーサイ (#) など、さまざまな粉もの軽食を提供している店をママッストールとよびます。24時間営業が多く、マレーシアのファミレスのような存在です。

ロティチャナイは2〜3種のカレーソース付き。プレーンのほか、卵、バナナ入りなどもある

達人の技にも注目!


FEATURE ▽  特色#04
マレーシアらしいカレーといえば
国民的人気のミーカレー

 中国から渡ってきた麺料理は、カレーと並んで、多くのマレーシア人の日常食です。さまざまな料理があり、そのなかで人気No. 1といえるのがミーカレー。ミーとは小麦麺のことで、つまりはカレー麺。コシのある中太麺に、ココナッツミルクがきいたカレースープを合わせます。具は、鶏肉、油揚げ、魚のすり身、ゆで卵など。辛さは店によっていろいろで、唐辛子の輪切りを好みで後のせするタイプもあります。ミーカレーと人気を二分する麺料理がラクサ (#) 。地域で味が違う“ご当地麺ラクサ”にも、カレー系のスープがあります。

マレー系のミーカレーはスープパスタぐらいの汁の量。中国系の「咖喱面」は汁多め


FEATURE ▽  特色#05
ペーストやレトルトが続々
日本でもジワジワ人気に

 昨今のカレーブームにのって、日本でもマレーシアカレーの認知度が高まっています。マレーシア発の老舗食品ブランド「アヤム」や「ブラヒム」のカレーペーストは定番で、昨年は「無印良品」のレトルトカレーのシリーズに、マレーシアカレーが登場。さらに、輸入商品の卸しを手がける「ユーキトレーディング」、アジアンフードの通販「ハラル・トゥ・ゴー」が現地のメーカーと提携し、多種のカレーペーストを続々販売。インドやタイと同じように、カレーが日常的に食べられている国の味として、マレーシアカレーは今後も注目を集めそうです。

「YOUKI マレーシアカレーの素」を使って本場のカレーを作ってみよう!
カレーリーフ/八角/クミン  この3つのスパイスを足すとマレーシアらしい味に!

レシピ
1  鍋に大さじ2の油をいれ、クミン(小さじ1/2)、八角(1個)、カレーリーフ(好み)を香りが出るまで炒める。
2  「YOUKI マレーシアカレーの素」を加えて、表面に油が浮くまで炒める。
3  適度にカットした鶏肉(300g)加えてペーストをよくからめたら、水200ml、ココナッツミルク200ml、ひと口大にカットしたじゃがいも(2個)を加えて、煮込む。
4  具に火がとおったらできあがり

右下より時計まわりで チキンカレー:上記のレシピで作ったもの。香り豊かでコク深い味。塩卵:カレーに塩卵を合わせるのがマレーシア流。野菜:ターメリックと塩で炒めたキャベツ。パパド:パリパリ食感を追加したら、完璧なワンプレートに!


※ 上記、記事内にある8つのキーワードの注釈
8 Keywords

バナナリーフカレー  Banana Leaf Curry

南インドから渡ってきたインド系移民がもちこみ、今やマレーシア全土で食べられている人気料理。注文すると、テーブルの上にバナナの葉が敷かれ、ご飯、野菜のおかず、カレーが手際よく盛りつけられる。


#グライ  Gulai

スパイス入りの煮こみ。カリ(Kari)との違いは地方によって異なり、マレー半島北部では、カリを含めてすべてグライ。南部ではインド由来の乾燥スパイスを使ったものがカリで、グライはレモングラスなど生ハーブが多い。


#ルンダン Rendang

スパイスとココナッツミルクで煮込んだ肉料理。仕上げにからめるココナッツフレークが水分を吸収するため、カレーに比べて汁が少なめ。インド由来のカリには宗教上の理由で牛肉はないが、ルンダンはビーフが祝い料理として人気。


ニョニャ料理 Nyonya Cuisine

おもに中国からの移民がマレー半島で築いたコミュニティ「プラナカン」が作る料理のこと。マレー半島に生息するハーブやスパイス、そこに中国料理で使う調味料や食材をミックスするこの土地ならではの味。


ナシカンダー Nasi Kandar

19世紀にインド系の行商人が天秤棒(マレー語でカンダー)を肩にかつぎ、ご飯(ナシ)とカレーなどのおかずを売り歩いたのが始まり。インド系の食堂のことで、ごはんとカレーを合わせる食事スタイルのことも指す。


#トーサイ Tosai

ウラド豆で作った生地を発酵させ、クレープ状に焼いたもの。南インドのドーサと同じもので、マレーシアではトーサイやトーセと発音する。プレーンのほか、カレー味のじゃがいもを具にしたマサラ・トーサイが人気。


#ママッストール Mamak Stall

ママッとは、インド系民族のなかでイスラム教を信仰する人々のこと。多民族と同時に多宗教でもあるマレーシアは、店によって使用する食材の種類が異なる。ママッストールでは、イスラム教徒が安心して食べられるハラル料理を提供している。


ラクサ Laksa

多種のスパイスを使ったスープ麺のこと。地域ごとにラクサの味は異なるが、大きく分けるとカレーラクサと魚だしのアッサムラクサの2系統。カレーラクサとミーカレーはよく似ていて、その線引は店によってさまざま。


文・写真/古川音 Oto Furukawa

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