おかず

ビーフルンダン

Beef Rendang / Rendang Daging  

“アジア版ビーフシチュー”ともいわれるコク深~い料理

お祭りに欠かせないおめでたい料理。ご飯がすすみまくる濃厚な味

牛肉の濃厚な煮込み。スパイスやココナッツミルクでじっくり煮込んだ料理で、肉のうま味が凝縮した重厚感のある味。ご飯に合わせて食べます。マレーシアでは牛肉は比較的高価で、調理に時間がかかることもあり、結婚式やお祭りのようなハレの日の料理として人気です。

さて、ルンダン(レンダンと発音する人もいる)は、ビーフ、チキン、マトンのおもに3種類があり、なかでもビーフルンダンのレシピはさまざま。レシピ本『Nasi Lemak by Puan Sri Betty Saw』によると、なんと7種ものビーフルンダンのレシピが紹介されています。見ためはどれも、牛肉ごろごろの煮込み。使うスパイスやハーブの種類が異なっています。

有名なビーフルンダンは「ルンダン・トッ / Rendang Tok」。マレー半島内陸部のペラ州のルンダンで、黒っぽい見ためが特徴。ほかのルンダンに比べてスパイスの種類が多く、胡椒の香りもポインドだそう(いつか食べてみたい!)。

そうそう、このレシピの違いとは別に、煮込む時間などによって、ビーフルンダンには3つの見ためがあります。基本形は、肉ごろごろタイプ。もうひとつは、肉の繊維がほどけた、ほろほろフレークタイプ(レストラン Madam Kwan’s はこのタイプ)。そしてもうひとつ、汁気を飛ばすように煮詰めたドライタイプで長期保存が可能。これはふりかけのようにして食べる「スルンデン」と呼ぶこともあります。

さてさて、チキンルンダンのページでも紹介した「ルンダン」と「カレー」の見分け方。・汁のとろみ ・スパイスの種類 ・具の野菜があるかないか。この3原則は同じなのですが、ビーフルンダンの場合、もっと大きな違いがあります。マレーシアのカレーはインドをルーツに持つので、彼らが食べないビーフカレーはありません。つまり、ビーフの煮込み料理があれば、それはカレーではなくルンダンのことが多いです。(もちろん、まれにカレーのスパイスを使ったビーフカレーはあります。この場合、マレー系の食堂やケータリングで登場。つまり、ビーフを食べないインド系や中国系食堂にはありません)

ここでは、ルンダンならでの食材をまとめておきます。

以前、料理教室で、ペナン出身のアスリシェフにビーフルンダンを習ったところ、カレーにおなじみの乾燥スパイス(たとえばコリアンダーやクミン)はひとつも入っておらず、ハーブはレモングラスやこぶみかんの葉のみで、ひじょうにシンプルな食材で驚きました。このように、ルンダンに使う乾燥スパイスはカレーに比べて少ない、そのかわりに多数のハーブ(レモングラスやこぶみかんの葉など)に香味野菜を加えます。

ほとんどのルンダンにかならず入っている食材が、ガランガー、レモングラス、クリセの3つです。ガランガー Galangal(マレー語はルンクアス Lengkuas)とは、タイのトムヤンクンに欠かせない香りのいい生姜のこと。レモングラスとともに東南アジアの料理に必須の食材です。クリセは、ココナッツの実。あらかじめ削ったココナッツの実を乾煎りし、臼でたたいて濃厚な香りと油分をひきだしておいたもので、これを調理の仕上げに加えることで香り豊かになり、ソースにとろみがつきます。そしてもうひとつ、いろんなレシピを見てわたしがほーっと思ったのは、ルンダンの調味料に砂糖が入っていること。アスリシェフのレシピにも、黒砂糖(現地では椰子砂糖を使う)が大さじで入っていました。これもルンダンの特徴のように思います。

Memo
2017年、アメリカの放送局CNNが世界でもっともおいしい料理としてルンダンを発表。このときルンダンはインドネシア料理として紹介されているが、マレーシアやシンガポールでも、ルンダンはとってもポピュラーな料理。また、料理の発祥はインドネシアのスマトラ島にあるといわれ、多民族が暮らすマレーシアでは、マレー系の料理として親しまれている。

Photo
クアラルンプール郊外、ナシレマッで有名な「ヴィレッジ・パーク」にて、2012年

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