Hokkien Mee
黒の美麺を薄暗い灯りの夜の屋台で食べるという萌え感
焼うどん似で具は海鮮と豚。麺がやわらかいのはスープを吸わせて作るため
クアラルンプールで人気の麺「ホッケンミー」。うどんによく似た太麺に、真っ黒な見ため。パッとみ、濃い醤油味のようですが、食べてみれば、おっ! ふくよかな海鮮の香りに、まろやかな味わいで、しょっぱさはゼロ。というのも、この黒色、日本でも購入可能な中国醤油「老抽」(黒醤油/dark soy sauce)によるもので、少量を加えるだけで真っ黒になるから。日本の醤油に比べて塩気が少ない「老抽」ですが、そもそも味ではなく、濃い色と香ばしさをつけるのが目的。「バクテー」もそうですが、濃い色の料理は、“長時間煮込まれている”“コクや深みがある”というイメージでおいしさに結びつく、というのがマレーシア人の嗜好なのです。もうひとつの「ホッケンミー」の特徴は、調理法。焼きうどん似と書いたのですが、焼うどん感覚で食べると、麺がやわらかすぎる、と思うでしょう。なぜなら、調理法がまったく違っており、炒めというより、煮込みに近いのです。具体的にいうと、豚骨や鶏だしでとっただしを2~3人前の麺に対しておたま1杯分ぐらい加えてぐつぐつ。煮込みうどんの汁なし版といった感じ。そこに、海鮮や豚肉などの具、店によっては豚のラードやイカのわたで濃厚さをプラス。豚の脂身をカリカリに揚げたものをトッピングなど、かなり凝った調理法。だから一度食べると、ハマっちゃうんですよね~。なお、専門屋台は夜営業のことが多く、薄暗い屋台の灯りのもとで、よく見えない黒い麺をすするのも、また格別においしいポイントです。
Memo
「ホッケンミー」という同じ呼び名の麺でも、地域によって味が異なる。クアラルンプールやジョホールでは、この黒い炒め麺。ペナンでは赤いスープ麺。また、シンガポールでは中細麺の炒め麺で、色は薄くなる。
Photo
クアラルンプールのペタリンジャヤ、ホッケンミー専門店、5リンギットぐらい、2015年
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