マレーシア料理図鑑13/飲みもの/基本★/初マレーシアでおさえて欲しい料理/
ぶくぶく泡が特徴の甘いミルクティー。料理に合うだけでなく、旅の疲れもやさしく癒しくれる味。写真はジョホールで飲んだテタレ
テタレを解説
マレーシアで人気No.1ドリンク。濃いめの紅茶に、練乳を加えたリッチな甘さのミルクティーです。
名前のテタレとは、淹れるときに、容器をふたつ使って移し替えるため。テは紅茶、タリ(タレ)は引くの意味で、容器を“引く”ように上下に動かすのです。
できるだけ高い位置から注ぎ入れ、表面にブクブクと泡を立たせるのが大事。空気にマッサージされたテタレは適温で飲みやすくなり、口あたりもなめらかです。
テタレはあったかい? 冷たい?
暑いマレーシアですが、あったかいドリンクが好まれています。室内はクーラーが効いていますしね。
なので、テタレもあたたかいのがオリジナル。冷たいテタレを飲みたい場合は「テ・アイス」と注文を。
テタレを初めて飲む人へ
はじめて飲んだとき、こりゃかなり甘いな~と思いました。ところが、気がつけば、あれっ!すっかりテタレ・ラバーに。
というのも、マレーシア料理にテタレがよく合うんです。とくにスパイスやトウガラシが効いた料理との相性は抜群。ナシレマッやロティチャナイには必須です。
トウガラシの効いた辛い料理は、テタレのサポートがあれば安心。辛さでヒッ!となっても、テタレの甘さでホッ!となり、ヒッ、ホッ、ヒッ、ホッの無限ループで食事を最後まで楽しめます。
ミニエッセイ「ないから、いい」
マレーシア人は紅茶が好きだ。19世紀末のイギリス統治時代、紅茶好きのイギリス人が茶葉園を作ったため、その名残で紅茶がよく飲まれている。テタレのルーツは、その時代に労働者として渡ってきたインド人が持ちこんだ「チャイ」。ただ、チャイと違って、テタレはスパイスを使わない。マレーシアでは、スパイスが高価だったから、などの理由だとか。スパイスを使わないために、インド系以外の民族も飲みやすく、マレーシアの国民的ドリンクになった。ないから、いい。そういうこともあるんだね。
Memo1
テタレは温かいのが基本。なので「テタレください」というとホットが出てくる。冷たいテタレを頼みたい場合は「テ・アイス」、甘さをひかえたいときは「テタレ・クランマニス(クランはひかえめ、マニスは甘い)/ テ・アイス・クランマニス」になる。ちなみに、引くというマレー語がのスペルが Tarik(タリ) なのに、テタレでは“タレ”と発音しているのは、むかしのスペルがTarekでその名残りらしい。
Memo2
マレーシア人は紅茶が大好き。それは、19世紀のイギリス統治時代、紅茶好きのイギリス人が茶葉園が作り、現在もマレー半島中部の「キャメロンハイランド」、ボルネオ島の「サバ州」で茶葉を栽培していることに関係している。そしてテタレも、イギリス人統治時代に移り住んだインド人が持ちこんだ「チャイ」にルーツがあるようだ。ところがテタレではスパイスを使用しない(こだわり派で使うこともある)。それはマレー半島ではスパイスが高価だったため、という説がある。スパイスを使用しなかったがゆえに、インド系以外の民族、マレー系や中国系にも受け入れられ、マレーシアの国民的ドリンクになった、ともいわれている。
Memo3
テタレはどこでも飲めるが、テタレを引くという動作を見せてくれるのは、インド系民族が経営する食堂「ママッ・ストール」。ストールとは店、ママッとはインド系民族のイスラム教徒のことを指す。彼らが作るテタレがいちばん美味、というマレーシア人もいる。
Memo4
なぜ、ミルクではなく、練乳を使うかというと、保存が楽ちんだから。つまり、ミルクのように冷蔵保存が必要なく、常温で、かつ長期間保存できる。暑い国の屋外屋台での提供に向いているのだ。最近は、練乳の価格高騰のため、練乳ではなくエバーミルクと砂糖を使うことも多い。エバーミルクのほうが練乳よりも泡が立ちやすい、というメリットもあるようだ。なお、練乳そのものがどういう経路でマレーシアの食文化に取り入れられたは現在調査中。マレーシアではスイスに本社をもつネスレ社の「ミロ」もドリンクの定番で、このあたり国がもしかしたら…とも考えたりしている。ひきつづき調査中!
●CREA web 連載にもコラムを書きました。 「手タレ」じゃないほうの「テタレ」はマレーシアの甘~いミルクティ
この記事へのコメントはありません。