マレーシア料理図鑑82/麺もの/上級★★★★★★★★/地域限定食、ハレの日の料理/
王様が好んだラクサで、麺がスパゲティ! みためは地味だけど、食べてみれば、魚の身やうま味が効いた滋味深いおいしさにハマる。写真は、ジョホールの専門店で食べたもの
ジョホール・ラクサを解説
マレー半島南部ジョホール州のラクサです。
ひと言でいうと、とろみのあるコク深いスープをスパゲティにかけたラクサ。スープのベースは、魚や海老など魚介類をペースト(とろみの素)にしたもので、スパイスの香りがほどよく効いています。
コクがありつつ、さらっと食べられる味で、たとえるなら、そうですね~、冷や汁とカレーを合わせた感じ(かなり合ってると思う!)。見ための彩りがあまりなく、食欲をそそられませんが、食べてみると、じつに奥深い味です。
ジョホール・ラクサはどうやって食べる?
サンバルが必ずついています。ガツンと辛いので(これが美味!)、すこしずつ混ぜてどうぞ。また、宴や家庭で食べるときは、具や麺がそれぞれ提供され、各自で盛り付けることも多いです。
ジョホール・ラクサを初めて食べる人へ
数あるラクサなかで、味、見ためともに個性派No.1。
まず、麺がスパゲティです。その昔、ジョホール州の王様が好んだ麺だそうで、スープをかけるのも、なんとなく西洋スタイル。また、もともと宴の祝い料理で、スープの材料に魚介を使用するなど、とても凝ったもの。みための地味さからは想像できないリッチな味です。
専門店での提供です。また、ジョホール以外の場所でも、ジョホール出身の店主が手がける飲食店で提供され、その美味から人気が高まっています。
ミニエッセイ「ラクサビュッフェ」
ジョホール・ラクサはとてもユニークな料理、とくに提供方法が独特だ。 先日、クアラルンプールでジョホール出身マレーシア人の家に遊びにいったところ、故郷の味ジョホール・ラクサでもてなしてくれた。テーブルに、麺、スープ、具、サンバルが別々の皿に盛られて並んでいる。食べる人が好きな具を、好きな量、自分で皿にとるつまりビュッフェスタイルだ。これなら、好きなタイミングで食べられるし、提供する側も盛り付ける必要がなく楽チン。本来ジョホールラクサが、大勢の人が集まる宴の料理であることの証のように感じた。
Memo
現地メディアによると「パスタが好きなジョホール州の王様のために、伝統的な米麺ではなくパスタでラクサを作ったのが始まり」だとか。魚や海老をにペーストにして加えた海鮮スープには、ターメリックやココナッツミルクを加え、サラサラのスープカレーのよう。具はきゅうり、もやしなどの野菜やハーブ。そこにキリッと辛いサンバルブラチャンを好みの量のせ、すこしずつ混ぜながら食べる。
Memo
サンバルブラチャンは、生唐辛子、小海老を発酵させたブラチャン、砂糖を石臼で叩いてペースト状にしたもの。甘味と辛みが重なり合う奥深い味で、これがシャキシャキの野菜やさらさら海鮮スープに混じりあって美味。
★マレーシア全体のラクサ事情(たくさんあります!)はこちらの記事へ。