マレーシア料理図鑑41/麺もの/中級★★★★/マレーシア料理の奥深さを知りたい人/
強烈な匂いに最初は撃沈。でも本場ペナンで食べたらやみつきに! 魚と酸っぱい料理が好きな人におすすめ。写真はペナンの人気店のもの
ペナン・ラクサを解説
はじめにラクサの概要をお伝えすると、マレーシア各地で食べられているラクサは、大きくわけて2系統の味があります。1つは魚だしに酸味入りのさっぱり系、そしてもう1つは鶏だしにココナッツミルクのまろやか系。
ペナンのアッサムラクサは、前者の魚系ラクサの人気No.1です。アッサムとは酸っぱいという意味。タマリンド、またはドライフルーツAsam Gelugorの酸味。そこに生トウガラシの辛味を効かせた味です。
ペナン・ラクサは、サバやアジなど青魚でつくるスープで、その魚のほぐし身入りなのも特徴。なので、宮崎の冷や汁似のとろみがあります。麺は弾力のある、やや太めの米麺(この麺のことをラクサ麺という)です。
濃厚な香り、トッピングのミントのさわやかさなどが幾重にもなった風味が唯一無二感。一度食べれば、やみつき一直線です。
ペナン・ラクサの注目ポイント
上の写真、麺全体にかかっている黒いソースは、海老ソース(otak udang)。海老の殻を長時間煮たうま味の塊で、甘みとコクをUP。ただし、香りは強烈。これが、ペナン・ラクサが最初に撃沈し、その後やみつきになる要因です(最初は驚くけど、何度か食べるとハマるので)。
ペナン・ラクサを初めて食べる人へ
食べてみたいなら、本場ペナンでぜひ! クアラルンプールでも食べられますが、本場の味は、ひと味もふた味も違います。
初めて食べると、おお!となるのが麺の上(またはレンゲ)にある黒いソース。オタウダン(orヘーコー)とよばれる海老ソースで、甘みとコクを加える役割。同時に、かなり強い磯のような香りに最初は戸惑います。が、じきに慣れます。
欠かせないトッピングはピンク色のショウガ科の花(ブンガカンタン)で、さわやかな香りに、見た目も鮮やか。味覚、嗅覚、視覚、すべてを刺激するラクサです。
ミニエッセイ「おいしいは記憶」
ペナン・アッサムラクサに目覚めたときを今でも鮮明に覚えている。クアラルンプールで何度食べても好きになれない。ところが、ペナンで食べたら、あっ!おいしい!となったのだ。理由のひとつは、オタウダンの香り。それまで香りが受け入れられなかったが、ペナンの店は風通しよくて香りが穏やか。いい塩梅の香りは食欲をそそると知った。その経験後は、苦手に感じていたクアラルンプールの味もおいしいと思うようになった。体験は記憶になり、記憶が味覚を変化させたのだ。
Memo
2011年、アメリカのニュース局CNNのアジアサイトが世界の美食ランキング第7位に、アッサムラクサを認定している。
★マレーシア全体のラクサ事情(たくさんあります!)はこちらの記事へ。