マレーシア料理図鑑40/麺もの/中級★★★★/マレーシア料理の奥深さを知りたい人/
濃厚なココナッツカレースープが麺にからみ合う幸せよ。海老、鶏、赤貝など贅沢な具がのっていてファンの多いラクサ。写真はマラッカのニョニャ料理店で食べたもの
ニョニャラクサを解説
ずばり、マレーシアのラクサは地域で味が様々。ここで紹介するのは、世界遺産級の食文化をもつマラッカのラクサ、ニョニャラクサです。
ひと言にするなら濃厚なココナッツカレー麺。でも、そのひと言では表現できないスパイスの辛み、ココナッツミルクのコク、海老やハーブの香り、柑橘の酸味など、さまざまな味が複雑に重なり合った魅惑の味です。辛味調味料サンバルが付いてきて、このコク美味さも絶品。
鶏、揚げ、海老、赤貝、魚のすり身、キュウリなど具の豊富さも特徴で、最後のひと口までおいしさがノンストップです。
ニョニャラクサはどうやって食べる?
食べる直前に、柑橘のカラマンシー(マレーシアではLimauとよぶ)をしぼってどうぞ。酸味のさわやかなコクがおいしさを引き立てます。
ニョニャラクサを初めて食べる人へ
カレー好きにおすすめのラクサです。スパイスの香り立つコク深いスープ。ベースは、海老と鶏のだしで、レモングラスやシナモンなどのスパイスの香りが余韻です。
麺は、イエローミー(卵麺)が多く、ビーフンとのミックスも人気。とろみのあるスープが麺によくからむのも特徴です。
さて、ニョニャラクサのニョニャ料理とは、その昔、交易が盛んだった町マラッカで、中国移民と現地女性の婚姻によってうまれたハイブリッドな食文化のこと。多種のハーブ、スパイス、食材を使い、手間と時間をかけて作る繊細な料理で、このラクサは、その代表格です。
ミニエッセイ「1970年創業の味」
マラッカのおいしいニョニャ・ラクサの話し。ニョニャ料理店のオーナーシェフ、ジェニファーの両親が、手押し屋台でラクサ店を始めたのは1970年のこと。約15年前に店を引き継ぎ、コロナ禍を経た現在は、週3の間借り営業をしている。味の決め手であるスパイスペーストは、週に1回、約6時間かけてじっくり炒める。できあがる量は約30kg。それを3日間の営業で使い切る。手間はかかるが、ペースト作りにこだわる。なぜなら、両親が努力して生みだした味を途切れさせたくないから。おいしいラクサは家族の歴史と想いの結晶だった。
Memo
ニョニャ料理であるニョニャ・ラクサは、屋台ではなくレストランで食べる料理(もともとは家庭料理)。そのため他の地域のラクサに比べると、食材が豪華で、量が多めで、そしておしゃれに盛り付けられています。ニョニャレストランの定番メニューで、クアラルンプールのニョニャレストランやおしゃれカフェでも提供。ニョニャ・ラクサの立ち位置を日本のそばでたとえるなら、庶民派のそばチェーンのそばではなく、西麻布のそば専門店で食べる天ぷらそばみたい感じだ(かな?)。
★マレーシア全体のラクサ事情(たくさんあります!)はこちらの記事へ。