マレーシア料理図鑑84/麺もの/上級★★★★★★★★/地域限定食、ハレの日の料理/
クランタン州、トレンガヌ州の自慢の麺。クリーミーな魚だしに、香草たっぷり、くるっと巻いた麺はもちもち。写真はトレンガヌの市場で食べたもの
ラクサムを解説
マレー半島北東、クランタン州やトレンガヌ州のご当地麺です。
魚だしにココナッツミルクを加えたまろやかな風味のスープ。いちばんの特徴は米で作った生地をくるっと巻いた麺。食べやすい大きさにカットされています。もっちり、やわらかい食感で食べごたえがあります。
ちなみに、私が食べた経験ではクランタン州の夜市のは、ほんのり甘い、トレンガヌ州の市場のは、黒胡椒多めのラクサムでした。地域や店で特徴があるようです。
ラクサムはどうやって食べる?
赤いサンバルが皿のどこかにちょんとのっているのでそれをちょっとずつ混ぜて味変を楽しみましょう。
ラクサムを初めて食べる人へ
クランタン州、トレンガヌ州でよく食べられています。市場併設のホーカーセンターや夜市の屋台で提供されています。
魚だしのクリーミーなスープにやわらかい麺と香りのいいハーブ。さまざまな味、食感、香りが重なり合うマレー料理らしい味です。
ちなみに、本『BEKWOH』によると昔は、スープがより濃厚で、手で食べていたそう。そう考えると、麺がひと口サイズなのも手食用に工夫された形なのかもしれませんね。
ミニエッセイ「食後の自己申告」
トレンガヌ州で食べたラクサムは、味より、会計方法が記憶に刻まれている。一般的にマレーシアの屋台では、料理がテーブルに運ばれたときに支払うか料理とともにメモを渡され、食後にレジで払うかのどちらかのパターンが多い。ところが、トレンガヌ州の多くの店は食後の自己申告。メモも渡されない。ひとり分ならいいが、家族全員分の料理を覚えてレジの人に伝えるのはけっこう大変だ。でも、ラクサムの店でわかった。会計の際「ラクサムを食べたよ、おいしった!」と思わず味の感想も伝えた私。そうか、きっとこの会話がいいんだね。
Memo
“ラクサ”の基本の定義は魚だしに米の麺料理なので「ラクサム」はラクサの一種といえる。ただ、ほかのラクサに比べて麺の形状やスープの味は大きく違う。
Memo
麺の中は空洞。イメージするなら、そうですね、おしぼりのような形状で、2センチぐらいの適度な長さにカットされている。この麺、日本では見かけないが、マレーシアにはけっこうあり、たとえば「チーチョンファン(豚腸粉)」。中に具を入れたりタレをかけて食べるもの。また、サラワク州のスープ麺「クエチャップ」。漢方スープに浮かぶのは、この麺。
Memo
具はもやし、きゅうり、ダウンクスンDaun Kesom(ラクサリーフとも呼ぶ)という香草などさっぱり系。そこにピリッと辛いサンバルを好みで混ぜる。甘めのスープにやわらかい麺、さやわかなに香りに、刺激的な辛さ。さまざまな味が重なり合う。
★マレーシア全体のラクサ事情(たくさんあります!)はこちらの記事へ。