
Nasi Dagang
シンプルに見えるものこそ、その奥に多数の工夫あり
注目はご飯。米は3種ミックスで、ココナッツミルクをかけながら蒸す
マレー半島北部、クランタン州やトレンガヌ州で食べられているご当地料理。ナシ(ご飯)とフィッシュカレー(カツオのカレーのことが多い)のコンビです。ナシダガンの特徴は、ナシ。パッと見たところ、ふつうのご飯に見えます。でも、上の写真をよ~くみると、皿の左下あたり、白飯のなかに赤米がちらほら混じっていますよね。じつはナシダガンのナシは、一般的なインディカ米(うるち米)に、赤米、さらにもち米もミックスしたもの。この3種混合米を一晩水に浸して、蒸しあげるのですが、途中でココナッツミルクを回しかけ、さらに蒸す、という工程をリピート。そのため、出来上がったご飯は、食感はふわっ、もちっ、になり、かむとほのかに甘い香りが楽しめるのです。しかーし、実のところ、ココナッツミルクの甘い香りは炊きたてのご飯によく似ているし、食感も小さな違いではあるので、ささっと食べただけでは、あまり気づかれない。それなのに、こんなに手間をかけて作り上げるのが、ナシダガンの魅力なのです。ふ、ふ、深い。フィッシュカレーは、まろやかなココナッツ風味で、ご飯によくなじむサラサラタイプ。シンプルな一皿だからこそ、心に沁みます。
Memo
マレー半島北部のエリアでは、屋台やフードコートで食べることができる。また、スーパーでは、ジャスミン米やバスマティ米と同じように「ナシダガン用の3種ミックス米」が袋入りで売られている。ちなみに、ダガン dagang とは貿易の意味。友人によると、貿易商人にふるまわれていた歴史があるそうで、フィッシュカレーが定番なのは、肉より宗教的な縛りがないためでは、と想像。あと、字面が似ていて混同しがちなのが nasi daging (ナシダギン)。こちらは牛肉とスパイスを炊き込んだビリヤニに似たもの。
Photo
クランタン州コタバル、セントラルマーケットの2階で食べたもの。たしか4リンギ(120円)程度。2013年
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