ジャーナル

「家事は得意な人がやる!という華人の合理性」タンマリのマレーシア家族のごはん Vol.04

マレーシアのリアルな台所事情。華人系の嫁タンマリが、ごはん記録を通して、現地で暮らして感じたこと、自分のなかの変化、周りの人との関係などをつれづれに語ります。

この日のごはんは、粥、チャークイティオ、漢方チキンスープ、オクラ炒め2種、トマトと卵炒め Tanmari’s food diary in Johor, Malaysia

日本人タンマリ。ダーリンは華人系のマレーシア人。2018年の4月1日より、ダーリンの実家であるマレーシアのジョホールに子ども3人と移住。人生は直感! という大胆な性格で、しばしば周りの人を驚かせるが、本人はいたって明るく、その明るさで周りの人に愛されている。「英語も中国語もマレー語もほとんど話せませんが、マレーシア生活、なんとかなっています!」という、ある意味で奇跡の人。現在は、義父(タンpapa)、義母(タンmama)、義姉、長女8歳、次女5歳、坊3歳と計7人暮らし。ダーリンは日本で仕事。

 この連載について / タンマリと家族のプロフィール

text and photo by Tanmari

27th May. 2020 
Snack: 魚粥 / Place : 家

 朝10時ごろ、隣の家に住んでいるリーファaunty(*)が塀越しにいつもの声。彼女は料理上手で、1週間に約1回の頻度で、手料理のおすそ分けをくれる。今日は生姜たっぷりの魚粥をとどけてくれた。リーファauntyは、以前タンmamaの店で働いていた昔からの知り合いで、タン家との交流が深い。食材をたくさん買ったときは互いに分けあったり、リーファーauntyは車を運転できないので、お使いを頼まれたり。親戚のようなご近所さんだ。ちなみに、おすそわけの料理の量は、メニューがなんであれ、たいてい丼一杯程度。みんなで味見してね、というぐらいの気軽な量だ。

 魚粥はタン家の定番料理でもある。日本ではお粥に魚を入れるイメージは無い気がするけど、これがとてもおいしい。味つけはシンプルに塩のみ。魚のだしと香りがきいている。また、華人は“生理のときに魚を食べる”という慣習があるようで、補血的な意味もあるのかも。日本に住んでいたころ、わたしが調子の悪いときにダーリンが魚粥をよく作ってたので、魚粥にはとてもいい思い出。

 リーファauntyの家族はマラッカ出身で、福建語を話すババニョニャの家系らしい。そのため、スパイスを使った料理がとても得意で、今朝の魚粥にも彼女流に生姜がたっぷりきいていた。この生姜におそれをなしたのか、残念ながら子どもは食べなかったけど、大人は朝ごはんで満腹にも関わらず、みんなでひと口つず味見。これ、マレーシア人あるある、だと思う。彼らはどんなにお腹がいっぱいでも、新しい味、知らない味を目の前にすると、味見せずにはいられない。生姜はあらかじめ炒めてあるのか、香ばしくて辛くなく、やさしい魚のおだしがとてもおいしかった。

(*)マレーシアの華人系社会でよく使われる年配の女性への親しみをこめた呼び名


Lunch:チャークイティオ / Place : 家

 午前中あわただしくて昼ごはんを食べ損ねていたら、14時ごろ、タンpapaが土鍋に入った料理を持ってきてくれた。中には大海老と豚肉がごろごろ入ったチャークイティオ。チャークイティオとは、平打ちの米麺を香ばしく炒めた料理で、とってもおいしそう! 「どこの店で買ったの?」っとタンpapaに聞くと「ア・バンの店のだよ!」という答えが返ってきて、思わず笑ってしまった。「バン」とはタンpapaの愛称。華人系の店に「ア・●●(●●は人名)」という店名がよくあり、「ア・バン」とはタンpapaの店、つまりは手料理ということ。お店が開けるのでは、と思うくらい、このチャークイティオはおいしかった!

 タン家では、タンmamaより、タンpapaのほうが料理をする。mamaは朝から晩まで働いていて忙しいし、幼いころは12人兄弟姉妹で家事担当はお姉さんたち。結婚後はpapaの料理上手なお母さん(私からするとおばあちゃん)が同居していたので、料理をやらなければいけない、という時代がなかったそうだ。

 そういう理由もあって、タンmamaが料理することはめったになく、それについてタンpapaは何も言わない。奥さんは料理をしなくてはいけない、という常識はここにはないのだ。これは、やさしさとか、思いやりというより、各自が自分の得意なとこをすればいい、という考えだと思う。そのほうが効率がいいから、という合理性を重んじる華人らしい。こういう考え方はいいな、と思う。

 タンpapaは料理が趣味で、自分で料理を作ることを楽しんでいる。週に1回ぐらい、家族に何も言わずふらりと市場に出かけていき、気に入った食材を買ってくる。私がすでに用意していた食材とかぶることもしばしばあるが、おいしければそれでいいのだ! 

 


 

Dinner:漢方チキンスープ、オクラ炒め2種、トマトと卵炒め / Place : 家

 夕ごはんは、papaが朝から仕込んでいた漢方チキンスープ。朝から長時間煮こんだ丸鶏スープのおいしいこと!

 味付けは塩だけで鶏のだしがたっぷりきいている。香りはがっつり漢方。子どもたちは食べられるかな?と思ったけど、これが意外によく食べた。

 タン家の食卓にはスープがよく出てくる。マレーシアでは、スープをご飯にかけてお茶漬けのようにして食べることが多い。この食べ方、子どもたちは大好きなんだけど、正直、私は苦手。1つには、幼いころ「汁かけごはんは行儀が悪いからやめなさい」と母親に言われて育ったから。そしてもう1つは、さらさらとご飯を飲み込んでしまうと、食べるときの咀嚼回数が少なくなり、唾液が出なくなって消化に悪いという説があるから。この2つの理由で、スープかけご飯を地味に抵抗し続けているけど、なかなかみんなには効果がない。

 さて、オクラ料理が2種あるのに注目して欲しい。じつは夕ごはんが並んだ食卓をみて、義理姉が「オクラ炒め、半分辛くしてもいい?」と。「そうだった!辛いもの好きの姉への配慮が欠けていた……」と反省した私。でも義理姉はそんな私の気持ちは意に介していないようで、ちゃっちゃっと保管していたスパイシーソースを使って、オクラを辛く炒めなおしていた。

 タン家のこういうところって、本当にありがたい。料理担当の私に、辛い料理を作って、とリクエストするのではなく、ましてや辛いものが食べたい気持ちを我慢するのでもなく、自分で食べたい味を自分で作る。義理姉だけでなく、ほかの家族みんなも同じで、自分が食べたいものは自分で買うか、自分で調整している。みんな、料理を作ってくれる人に文句を言ったりはしないのだ。私に文句を垂れるのは、子供たちぐらいである、笑。

  今日はここまで。この連載はどんどん続きますので、みんなお楽しみに!

text and photo by Tanmari edit by Oto

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