マレーシア料理図鑑42/麺もの/中級★★★★/マレーシア料理の奥深さを知りたい人/
具の主役はカリカリの煮干し。出汁にも使ってます。幼い頃よく食べた、熊本のだご汁を思い出させる味。写真はクアラルンプールのフードコートで食べたもの
パンミーを解説
小麦粉で作る麺の料理です。生地を“板状”に伸ばすことから、板面(パンミー)とよばれます。
味の核となるのは麺。自家製の生麺を使うことがほとんどで、もちっ、つるっとした生麺の食感はひかえめにいっても最高です。店内で麺を製造しているため、細麺、平麺、手でちぎった麺など、注文時に麺の形状を選ぶことができます。
スープの基本は、あっさり煮干しだし。日本のうどんにも通じるだしの味で、生麺のおいしさを引き立たせる名コンビです。
パンミーはどうやって食べる?
小皿入りの唐辛子醤油が付いてくるので、好きなタイミングでスープに少量垂らしてみて。刺激的な辛さで食欲アップ!
パンミーを初めて食べる人へ
煮干しのだしが効いたスープ麺。日本のうどんに通じる味で、旅の疲れを吹き飛ばすホッとする味です。
とはいうもの、具は特徴的。メインの具はカリカリに揚げた煮干しで、香ばしく、絶妙な塩加減でとっても美味。椎茸、豚肉も入っています。
スープは、煮干しだしが定番。そのほか、コクうま辛の三拍子そろった麻辣スープや漢方を煮込んだハーブスープ。さらに、スープ無しで香味タレをからめたドライ版も人気です。
また、数年前より、麺にカボチャやホウレン草を練りこんだカラフルなパンミーが登場するなど、マレーシア人(私も)はパンミーが好きです。
ミニエッセイ「自分を知るために」
ある日、突然気づいた。パンミーは、熊本のだご汁に似ている!煮干しのだし、手作りのちぎり麺は、幼い頃食べていたおばあちゃんのだご汁。そうか、初めて食べた料理をおいしいと感じるのは、その味のどこかに、自分の感情や体験の何かが触れているからなんだ。それはときに自覚していなかった感情さえほり起こす。私はだご汁が好きだったんだ、とパンミーを食べてから気づいたから。自分が自分の顔を見られないように、私は外の刺激からしか私を知ることができない。だからもっとマレーシアを知りたい。まだ見ぬ、私に出会うために。
Memo
パンミーには、サユマニス(サユは野菜、マニスは甘い)とよばれる緑の葉っぱが入っている。スープに甘みを足す役割があるそうですが……噛んでも味はなし。
Memo
麺は、平打ちの粗麺(広東語でチョウメン)が一般的だが、手でちぎった捏麺(広東語でミッ)も、もちもちの食感が楽しめておすすめ(上写真)。というのも、パンミーはツルツルしているので、マレーシアで提供されている極太の塗り箸で持つと滑る。ミッならば、レンゲですくい、スープも一緒にずるっとすすればいいので、味もさることながら、食べやすい。
この記事へのコメントはありません。