おかず

ナシカンダー Nasi Kandar

マレーシア料理図鑑44/ご飯もの/中級★★★★/マレーシア料理の奥深さを知りたい人/

カレーや惣菜が豊富にそろう食堂のことをナシカンダーとよぶ。ひとりでも気軽に楽しめるので旅行客にもおすすめ。写真はペナンの店で、店頭にカレーが多数並んでいるのがナシカンダーの特徴


ナシカンダーを解説

ナシカンダーは、料理というより料理店のジャンル。ペナン発祥のカレー食堂全般を指します。

この食堂の特徴は、お客さんに見えるように提供料理が店頭に並んでいること。チキン、ラム、海老、イカのカレー、鶏唐揚げ、野菜炒め、卵料理などずらり

お客さんは食べたいものを指差しで伝えて、ご飯と一緒に皿に盛ってもらいます。

料理名を知らなくても注文できる手軽さ。調理済みなのですぐに食べられる気軽さ。そのため一人旅にもぴったりの店です(ペナンは大盛りが多いので、その点は注意しましょう)。


ナシカンダーで、どうやって選ぶ?

圧巻の品ぞろえなので、あれもこれもと注文したくなりますが、料金は料理の数で加算されるので、その点をお忘れなく。量はあまり関係がなく、たとえばオクラ炒めは、2本でも5本でも同料金です。また、魚介系(魚・蟹・海老)は値段が高く、鶏肉は比較的安価、カレーの“汁だけ”は無料です。

そのため、メインを1種決めて、それに合わせておかずを2〜3種選ぶのがおすすめ(それ以上だと食べ切れないのと、味がちらかりすぎる)。わたしがいつも盛るのは、チキンカレー、キャベツ炒め(またはオクラ炒め)、揚げもの(ワダ、またはカレーを汁だけにして鶏唐揚げ)、卵系(塩卵があったら、ぜったいにこれ)。それにパリパリの薄焼きパパド。最後にカレーの汁をかけてもらいましょう。カレーの汁は、ミックス(クア・チャンプルとよぶ)がおすすめです。

※卵、ゆで野菜、炒め野菜は辛くないので、味のバランスがとれます。生野菜は辛いことが多いので注意してね。


ナシカンダーを初めて食べる人へ

カレー好きならパラダイスの店です。

カレーは、比較的ココナッツを効かせたカレーが多く、トウガラシの辛さはひかえめです。もちろんなかには、激的に辛い料理もあるので油断禁物。卵料理、ゆで野菜、炒め野菜(生野菜は辛い)は、ほとんど辛くないので、カレーに加えてこれらを選んで味のバランスをとりましょう

さて、ナシカンダー発祥の地はペナン。19世紀に、南インドのタミルにルーツをもつ行商人が、天秤棒(マレー語でカンダー)を担いでご飯(ナシ)を売り歩いたのが始まり。そのためペナンには、町のいたるところに人気店あがあり、クアラルンプールの店も、ペナン本店のことがほとんどです。


ミニエッセイ「毎晩、集合!」

インド系民族が人口の約7%を占めるマレーシアには、本場インドもびっくりの多彩で美味なカレー文化が息づいている。ナシカンダーは手頃な値段のカレー食堂。駐車場付きの大型店が多いので、友人と大勢で集まるのにもってこいの店。24時間営業のチェーン店が多く、店員さんが制服でびしっと決めているので、まるで日本のファミレスのような空気感。カレーを食べ、おしゃべりして長居する。友人いわく「ナシカンダーで毎晩集まってお茶するのが楽しい。太っちゃうけどね」。気軽に集まれるナシカンダーはマレーシア人の日常に欠かせない。


Memo
日本にもあったらいいのに、と立ち寄るたびに思うマレーシア名物。ナシカンダーの名前は、「カンダー(=天秤棒)」に籠を吊り下げ、その中におかずやご飯「ナシ」を入れて売り歩いたことに由来する。

Memo
ナシカンダーはインド系の料理なので、インド系民族が多く住む地域にある店がおいしい。ナシカンダー発祥の地といわれるペナン、クアラルンプルールならインド人街(SOGO近く)。

Memo
大型のチェーン店が多く、それらは24時間open。また、じぶんで料理を皿に盛るほかに、店の人におかずを別々に盛ってもらうこともできる。これは大勢でいってシェアするときにおすすめ

Memo
お客が料理を見ながら注文できるので、料理名を知らなくても注文できるわかりやすさがある。また、盛る量を調整してもらえれば、ひとりでも色々な種類が食べられること。カレーやスパイスがきいたおかずが多いので、カレーやインド料理好きは必食。

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