マレーシア料理図鑑85/ご飯もの/上級★★★★★★★★/地域限定食、ハレの日の料理/
シンプルに見えるものこそ、その奥に多数の工夫あり。注目はご飯で、米は3種ミックス、ココナッツミルクをかけながら蒸した料理。写真はランカウイで、トレンガヌ出身の店主が提供している有名店のもの
ナシダガンを解説
パッと見、普通の白いご飯ですが、このご飯が、ナシダガンの特徴です。食感はふわっ、もちっ、ほのかに甘い香り。じつは、使用する米そのものが独特で、インディカ米(うるち米)と赤米、時にもち米までミックスしたものも。
炊き方は、ココナッツミルクをまわしかけながらじっくり蒸すという手間のかかる調理法。その技のおかげで、香りよくふっくら仕上がるのです。
カツオのカレーを合わせるのが定番。マレー半島北部の人気料理です。ご飯が、うるち米と赤米のミックスから、ほんのりピンク色に見えることもあります。
ナシダガンはどうやって食べる?
ナシ(ご飯)とカレー(カツオが多い)のシンプルなコンビ。カレーと一緒に、またご飯そのものも味わってみてね。
ナシダガンを初めて食べる人へ
普通の白いご飯かと思いきや、ちらっちらっと赤米が見えるのがナシダガンの印。
合わせるカツオカレーは2種あり、クランタン州はまろやかココナッツ風味、トレンガヌ州は甘めの煮つけタイプ。どちらもおいしいです。
ちなみに、この料理をよく食べるマレー半島北部のスーパーや市場では“ナシダガン米”として、すでに米をミックスしたものが売られていました。
シンプルにみえて非常に凝った料理です。
ミニエッセイ「歴史の味」
「米に対してのこだわりが妙に強い」とマレーシア人への感想を著書内で記したのは、旅行作家の下川裕治さん。同感です。とくにナシダガンは驚いた。使用する米をブレンドするという発想。その味の違いを楽しめる味覚の繊細さ。ちなみに、ダガン Dagang とはマレー語で貿易。マレーシアの友人によると商人にふるまわれていた歴史があるとか。カツオという魚のカレーを合わせるのは、もしかすると、宗教的な縛りがある肉より、多くの人に提供しやすかったからかもしれない。
Memo
一般的なインディカ米(うるち米)に、赤米、さらにもち米もミックスしたもの。この3種混合米を一晩水に浸して、蒸しあげるのですが、途中でココナッツミルクを回しかけ、さらに蒸す、という工程をリピート。そのため、出来上がったご飯は、食感はふわっ、もちっ、になり、かむとほのかに甘い香りが楽しめる。
Memo
あと、字面が似ていて混同しがちなのが nasi daging (ナシダギン)。こちらは牛肉とスパイスを炊き込んだビリヤニに似たもの。
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