マレーシア料理図鑑16/麺もの/基本★★/2度目のマレーシアならここを攻める/
日本のやきそば感覚で食べると痛い目をみる味。なぜなら、トウガラシが効いた辛い味が多いため。柑橘類リマウの酸味をキュッと効かせて、フレッシュな気持ちで食べよう。写真はクアラルンプールの名店Pelitaのもの
ミーゴレンを解説
ゴーッ!という音が聞こえるほどの強火で、豪快に、手早く、炒めた麺料理です。
全体的に、辛い味が好まれていて、とくに人気の「ミーゴレン・ママッ」はトウガラシの辛さで汗がどっと出ます。卵がしっとり絡んでいるのも特徴で、辛いながらまろやかです。
具は、海老、厚揚げ、魚のすり身が定番。なかでも、厚揚げは人気の具で、麺のもっちり感と厚揚げのやわらかさ、この食感のコントラストが絶妙です。
つまり、見た目は日本のやきそばにそっくりですが、味も具もけっこう違うので、やきそば的な先入観をもたず、ピュアな気持ちで味わって下さい。
ミーゴレンはどうやって食べる?
食べ方はふつうですが、けっこう辛いことが多いので、目玉焼きを追加したり、甘いドリンクを合わせるのがおすすめ。
屋根つきの屋台広場のようなホーカーセンターで「ミーゴレンを下さい」と注文した場合、席までミーゴレンを運んでくれた店主に、お支払いをして、料理を受け取ります。
ミーゴレンを初めて食べる人へ
店によってミーゴレンの味は様々です。そのなかで人気なのが「ミーゴレン・ママッ Mamak」。(焼きそば界でいえば、富士宮焼きそば的存在)
ママッとは、イスラム教を信仰するインド系民族のことで、インドのタミル出身のシェフが考案した味だそう。具は、野菜天やジャガイモなど独特。水で溶いた小麦粉で玉ねぎや干し海老を揚げた、かきあげチックなものもあり、麺とかきあげ、意外に合うのです。味は、チリやトマトソースを組み合わせ、酸味と辛味。仕上げに溶き卵でとろっとさせます。けっこう辛いので、覚悟してどうぞ。
ほかに、黒醤油で香ばしく炒めた中華スタイルも人気です。
上の写真は、ケダ州アロースターで人気のMee Abu Goreng。麺をカリッと焼き上げた香ばしい味
ミニエッセイ「変化がおもしろい」
マレーシアにはいろんな麺料理があり、民族を問わず、よく麺を食べる。歴史をさかのぼると、マレーシアで暮らすマレー系、インド系はもともと手食文化で、麺文化の習慣がもともとあったとは考えにくい。麺は、箸文化をもつ中国にルーツがあるといわれ、つまり、中国系の祖先がマレーシアに持ち込んだと考えられる。(人類学研究者の石毛先生の説を参考に) ところが、現在マレーシアで人気の麺料理「ミーゴレン・ママッ」はインド系の店の名物である。もともとは違う民族の料理であったものが、マレーシアで新しい展開をみせている。それが食文化のおもしろさだ。
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