マレーシア料理図鑑43/ご飯もの/中級★★★★/マレーシア料理の奥深さを知りたい人/
ハリラヤに、サテーのおともにと様々な食事で活躍。ぎゅっと固めたご飯で、味がないので、どんなおかずとも好相性! 写真は、友人が実家でハリラヤ祭りのために作ったもの
クトゥパを解説
味なし、具なしのご飯です。容器に生米を入れ、ゆでて作るので、ちまきのようにギュッと固まっています。
ん? 料理図鑑でご飯の紹介?と謎に思うかもしれませんが、ルンダンなど多くのおかずと相性がよく、小分けで提供がしやすいことから、色々な場面で登場します。たとえば、サテーと一緒に提供されたり、ホテルのビュッフェにあったり。
また、ラマダン明けの祭りハリラヤでは、祝い料理のシンボル的存在です(なので、この時期になるとストリートの飾りによくみますよ)。
ちなみにクトゥパには三角と四角があり、三角はもち米(マレー半島北部でおなじみ)、四角はうるち米(クアラルンプールやマレー半島南部)のことが多いです。
クトゥパはどうやって食べる?
クトゥパはサテーの付け合わせの定番。ひと口サイズにカットされたクトゥパで、箸休めのような存在。サテーソースをたっぷりつけてどうぞ。
クトゥパを初めて食べる人へ
クトゥパって何?と思った方は、サテーの皿を思い出してくださいね。キュウリ、玉ねぎ、そして白い四角状の料理、それがクトゥパです。
伝統的には、椰子の葉で編んだ容器に生の米をいれ、水やココナッツミルクでゆでて作ります。とくに断食明けの大祭ハリラヤに必須で、容器から手作りする家庭も。
クトゥパは個単位でわけられるので、日本でいえば、花見のおにぎりのように、多くの人が訪れるオープンハウスの宴で提供しやすいのでしょう。
なお、祭りの時以外は、プラスチック袋に生米が入ったインスタント版で簡単に作る人もいます。
ミニエッセイ「クトゥパのカタチに注目」
ラマダン時期のマレーシア。ショッピングモールでよく見かけける緑色の四角い飾り。これがクトゥパだ。椰子の葉で編んだクトゥパを表している。さて、クトゥパには種類がある。一番簡単に編めるのがクトゥパ・サテー。四角い箱型で、定番の形だという。次に、クトゥパ・バワン。ドロップ型で野菜のシャロット(バワンと呼ぶ)を表現。そして、ハリラヤに作るのは立方体に近いクトゥパ・パサー。これは熟練の技が必要。シチュエーションに合わせてクトゥパの形を変えるなんて粋だなぁ。
◆補足◆ クトゥパのカタチについて説明!
椰子の葉で編んだクトゥパの種類。友人のイキンちゃんに、リボンで再現してもらいました。
よく見ないと、日本人のわたしには見分けが難しいのですが「右のketupat satay(クトゥパ・サテー)が作るのは1番簡単。現地でサテーを頼むと、キュウリ、タマネギとこのketupatがセットでよく出てきます。真ん中はketupat bawang(クトゥパ・バワン)で、玉ねぎ形のクトゥパということ。尻尾のタレたリボンを隠すと玉ねぎ(日本の玉ねぎではなく、ワケギの1種である小さなもの)に見えます。左はハリラヤに作るketupatです。真四角な形で、ketupat pasar(クトゥパ・パサー)と呼ぶ人もいます」とイキンさん。
クトゥパ・パサーは四角で切り分けやすく、ボリュームもあるので、カレーやルンダンに合わせるのに最適。クトゥパ・サテーは小さいのでメインではなくサイドディッシュになるそう(クトゥパってメインだったのか!)。「クトゥパの種類がいろいろあるのは、いろんな形があったほうが楽しいから。とくにクトゥパ・バワンは形が可愛いのでよく作りますが、お母さんはあまり好まなかった」とイキンさん。ちなみにイキンさん、幼いころからハリラヤの準備を手伝いつつクトゥパ作りを習ったそうで、あまりに忙しい時期なので、大人によく教えてもらえず、さらに怒られ、泣きながら作った記憶があるとか。リアルでかわいい思い出。ぜひマレーシアで様々なクトゥパを見つけてみてください。
Memo
マレーシアにはクトゥパ以外にも、レマン、ナシインピといった固めたご飯がある。味は似ているが、クトゥパは椰子の葉で編んだ手のひらサイズ、レマンは竹筒で作る大人数用。ナシインピは調理器具ではなく“つぶす”というのがポイントだ。
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