今回紹介するのは、出会ってしまったら最後、やみつき間違いなしの麺料理「アッサムラクサ」。
(左)マレーシア全域で食べられている麺料理「ラクサ」は、地域ごとに様々な味がある。とくにペナン島でよく食べられているのが「アッサムラクサ」で、別名「ペナン・ラクサ」ともよばれている。(右)ペナン島で人気の店「アイル・イタム」。魚の身がたっぷり入った濃厚スープが特徴で、地元の人から観光客まで続々集まってくる。
「アッサムラクサ」とは、ラクサの1種。日本でよく知られているカレー系のラクサとは違い、魚だしのスープが基本。そこに果物の酸味と唐辛子の辛みを加え、具とも、だしともいえる青魚のほぐし身をたっぷりと。麺は歯ごたえいい、やや太めの米麺を使用。
たとえるなら、宮崎の冷や汁のようなトロミのあるスープの食感が非常に個性的で、ほかの麺とは一線を画す唯一無二感。そのため、一度ハマると、恋い焦がれるようになるやみつき麺なのです。また、この「アッサムラクサ」は、アメリカの放送局「CNN」がかつて発表した美食ランキングで、世界第7位に堂々輝いた経歴をもつ実力派。つまり、世界も認めた味!
じつは、この魅惑の麺、マレーシアに行かずとも、東京・浜松町で味わえます。ありがたや~! 故郷ペナンの味を日本に広めたい、とマレーシア人のロバートさんが2014年にOPENした「ペナンレストラン」です。
ペナンレストランの「アッサムラクサ」980円。現地でもそうだが、スープ麺というより、濃度の高いスープを麺にからめて食べる“あえ麺”に近い。ランチタイムは麺の大盛可(+100円)。
開店直後は、食材調達の関係で断念していましたが、現在は、築地で仕入れた新鮮なアジを使えば「現地の味になる!」と提供を決定。たった10杯の仕込みに3時間かけ、アジの身はひとつひとつ手でほぐすというこだわり。
ひと口スープをすすると、酸味と辛みの絶妙なバランス、真っ青な海がすぐ目の前にあるような魚の香りの広がり。あぁ~、これはまさに、ペナンの味だ~!
複雑な味覚を味わう
それこそがアッサムラクサの神髄
さて、アッサムラクサは、スープだけではなく、上にのっているトッピングも独特。シャキシャキの野菜に、香り高いミント、そして大事なのがパイナップル。この甘酸っぱさがスープの辛みをやわらげます。辛み、酸み、甘み、そして香りに食感と、まさに五感を刺激する麺なのです。
ミョウガのような香りのするピンク色のハーブも個性的。ちなみに、輪切りの唐辛子がどさっとのっているので、辛いのが苦手な人は先に取り除くべし。食べるときは全部混ぜてどうぞ。
麺は、ぷるんとした歯ごたえの中太の米麺。つるっとさっぱり食べられる。
最後にもうひとつ、注目ポイントはレンゲの上の黒いソース。
発酵させた海老から作る海鮮ソース「オタ・ウダン(中国語ではヘーコー)」。スープに混ぜるとコクがグッと増す。味が濃いので、どれぐらいの量を混ぜるかはお好みで。
このオタ・ウダン、じつは強烈な匂いをはなっていて、私でさえも、アッサムラクサ初心者のころはドギマギでした。でも、これをスープに混ぜると、驚くほどおいしくなるんです。ま、とにかく、まずはどうぞお試しを。
オーナーシェフ、ロバートさん。25歳から料理一筋。「築地に仕入れにいくときは、朝3時に家を出る。自転車で築地に向かえば、朝4時には着くからね」とロバートさん。
現地では圧倒的な人気を誇る「アッサムラクサ」ですが、日本ではなかなか食べられない幻の麺。この貴重な味をぜひ、味わってみてください。
Penang Restaurant(ペナンレストラン)
所在地 東京都港区芝2-4-16 加藤ビル1F
電話番号 03-3456-3239
営業時間 11:00~14:00、17:00~23:00
定休日 日曜
アクセス JR浜松町駅南口より徒歩8分、都営三田線芝公園駅A1出口より徒歩4分、都営浅草線大門駅A3出口より徒歩10分
https://www.penang-restaurant.com/
文・撮影=古川音(マレーシアごはんの会)
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