マレーシアのリアルな台所事情。華人系の嫁タンマリが、ごはん記録を通して、現地で暮らして感じたこと、自分のなかの変化、周りの人との関係などをつれづれに語ります。
日本人タンマリ。ダーリンは華人系のマレーシア人。2018年の4月1日より、ダーリンの実家であるマレーシアのジョホールに子ども3人と移住。義父(タンpapa)、義母(タンmama)、義姉、長女8歳、次女5歳、坊3歳と計7人暮らし。ダーリンは日本で仕事。
この連載について / タンマリと家族のプロフィール
Tanmari’s food diary in Johor,
蒸し魚、丸鶏、粥鍋。メイン三昧の豪華コースでお祝い
21st June. 2020: Dinner Menu レストランの父の日コース / Place : タンpapaお気に入りのレストラン「SY」
text and photo by Tanmari
今日は久しぶりの外食。しかもおめでたいご飯! タンpapaの父の日のお祝いと退職記念で、お気に入りのレストランへ。
マレーシアは今、RMCOといって新型コロナウィルス回復のための活動制限令が出されている。そのため、レストランでは、隣との距離を保つよう、約10人がけのテーブルは1/3だけ稼働。これなら安心だ。周りを見渡すと、わが家もそうだけど、みんな久しぶりに家族で外食なんだろうな。とってもうれしそうだった。
さっそく、レストランおすすめの「父の日スペシャルコース」を注文。マレーシアは、年中夏なので四季がない。なので季節を愛でるように、行事や祭りをみんな積極的に楽しむ。たとえば、チャイニーズニューイヤー、バレンタインデー(日本のとはすこし違う)、母の日、父の日、教師の日、ムーンケーキ(月餅)祭りなど。そのつど、レストランではスペシャルコースが登場する。このコース、量はすでに決まっていて、1テーブルで8人分がめやす。いやいや、8人グループだなんて、日本でありえない大家族の設定だ。わが家の場合、タンpapa、タンmama、義姉、私、長女、次女、坊で合わせて7人だけど、そのうち半数近くが子どもなので、8人前のコースはかなり量が多い。でも、ま、打包(テイクアウト)するから大丈夫。
さて、最初に運ばれてきたのは、お祝いのときによく食べる麺料理。「麺のように長く、末永い健康を」という意味で、なんとなく日本の年越しそばの感覚に近い。ピンクに色付けされたうずらの卵がのっていておめでたさを演出していた。甘いタレの焼きそばのような料理で、子どもたちに大人気。それにしても大皿! 量が多いので、この時点で、子供たちはほぼお腹がいっぱいに……。
2皿目は、丸鶏の蒸し料理。
身がとてもやわらかくて、おいしい。酢入りのスパイシーなタレにつければ、さっぱりした味になって、いくらでも食べられそう! しかしここで、タンpapaからお達し。「これは明日の昼ごはん用に持ち帰るから、これ以上手をつけないように!」。たしかにこれからまだまだ料理が来るからね、さすがの先見の明!
3皿目は蒸し魚。
今回はめずらしく白子が添えてあり、子供たちが競って食べていた。日本にいた頃、私はよく子供たちに魚卵を使った魚の煮物を炊いていて、みんなその料理が大好きだったのだ。子供たちはあの味かも!と思ったようだが、食べてみると、思っていた日本の味とは違いガッカリ。だけど、魚自体はとっても美味しかった!
そしてとうとうメイン。いや、ここまででもかなりメイン尽くしでお腹いっぱいなんだけど、出てきたのは「お粥鍋」。えっ?お粥で鍋って……? スープは白いけど米粒は入ってない。お粥に具を入れて煮るの?? と頭がハテナだらけだが、とにかく食べてみる。
なるほど。スープは、お粥というより重湯のようにまろやか。そこに具を入れると、まろやかさに深みがでる。しかも肉巻きや海老餃子のような揚げものも具になっていて、これらを入れるとパンチもでる。つけダレは唐辛子入りの醤油ソース。まろやか、さっぱり、深み、パンチ、辛味。さまざまな味をこのひとつの鍋で体験できて、これはヤバイ、エンドレスに食べられそう! だが、そう思うのは心だけで、胃袋はもう限界~。
すでにお腹いっぱいの子供たちはそのあたりで飛んだり跳ねたりして遊んでいる。マレーシアは子供に対して寛容な社会で、人に迷惑さえかけなければ、たいていみんな優しく見守ってくれるからありがたい。
おめかしして楽しそうな子供たち。とくに注目して欲しいのは、左の坊のジャケット。じつはこれ、タンmamaの手作りで、それもダーリン用に作ったもの。だからなんと、40年近く前の代物! 物持ちの良いことよ。このジャケットを着た坊を見るタンpapa、タンmamaの目がやさしい。彼らにはきっと、坊の中に幼い日のダーリンの姿が見えるのだろう。
食事の最後に、退職記念に、子どもたち全員からタンpapaに腕時計をプレゼント。あらためて、タンpapa、勤続56年お疲れさまでした!そして父の日おめでとうございます。いつまでも元気で明るくて健康papaでいてください。END
今日はここまで。この連載はどんどん続きますので、みんなお楽しみに!
text and photo by Tanmari edit by Oto
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