ジャーナル

連載中! タンマリのマレーシア家族のごはん Vol.03

マレーシアのリアルな台所事情。華人系の嫁タンマリが、ごはん記録を通して、現地で暮らして感じたこと、自分のなかの変化、周りの人との関係などをつれづれに語ります。

この日の朝ごはんは、お粥  Tanmari’s food diary in Johor, Malaysia

日本人タンマリ。ダーリンは華人系のマレーシア人。2018年の4月1日より、ダーリンの実家であるマレーシアのジョホールに子ども3人と移住。人生は直感! という大胆な性格で、しばしば周りの人を驚かせるが、本人はいたって明るく、その明るさで周りの人に愛されている。「英語も中国語もマレー語もほとんど話せませんが、マレーシア生活、なんとかなっています!」という、ある意味で奇跡の人。現在は、義父(タンpapa)、義母(タンmama)、義姉、長女8歳、次女5歳、坊3歳と計7人暮らし。ダーリンは日本で仕事。

 この連載について / タンマリと家族のプロフィール

text and photo by Tanmari

3rd June. 2020 
Breakfast : お粥、炒り卵、チキンフロス(肉鬆 / rou song)、紅麹豆腐乳、オリーブの塩漬け  / Place : 家

 MCO(新型コロナの影響による行動制限令)期間中、わが家の朝ごはんはもっぱらお粥だ。それまでは、パンとヌッテラ(チョコ風味のスプレッド)とマイロ(ミロ)。小麦粉に、糖分 and 糖分だなんて、日本にいたころには考えられないジャンクなメニューだね、笑。

 というのも、じつは、長女は小さいころ卵アレルギーがあって、その関係で小麦粉をとるのもなるべくひかえていたの。それがマレーシアに来てなぜ変わったかというと、娘たちの学校の制度に関係がある。家から車で10分程度の距離にある小学校は始業は、なんと7時。つまり、7時には学校に着いていなきゃいけない。赤道近くのマレーシアは、7時ってまだ暗いぐらいなんだよ。朝が早いからといって夜早く寝るわけではなく(こっちの子どもたちの平均的な就寝時間は10時ごろ)、みんななかなか起きられない。そこで、辛い朝をすこしでも前向きな気持ちで過ごせるよう、娘たちが好きなものを朝食にしよう、と考えた結果が、パン&ヌッテラでした。移住してみて、しみじみ思ったんだ。子どもの健康はもちろん大事。でも、健康そのものが目標ではなくて、この世の中をちゃんと生き抜いていくために必要なのが健康なんだから、その時々で臨機応変な対応が必要なんじゃないか、って。

 話は戻ってお粥ね。今は学校がお休みで、朝食をゆっくりとれるので、お粥にチェンジしたの。お粥に合わせる定番のおともは、いり卵とチキンフロス。このチキンフロス、子どもたち全員大好きで、これさえあれば、なんでもよく食べる。ただ、けっこう高いので(500g=50リンギット)、かけすぎ注意。日本でいう、巻きずしに入っている桜でんぶのチキン版で、甘じょっぱい味。

 一方、私のお気に入りは、オリーブの塩づけ。大きめの黒オリーブで、やわらかい食感。

 このオリーブの塩漬けは、今年の3月、中国の潮州で暮らすタンpapaの親戚が訪れたときのお土産。おもしろかったんだよ~。親戚4人、わが家に5日ほど滞在したので、タンpapaは意気揚々とマレーシアのご当地グルメを案内。ところが、彼らはマレーシアの味にはあまりなじめなかったようで、家に帰ると、かならず自分たちでお粥を炊いて、このオリーブの塩漬けとともに食べるの。彼らは滞在中、ずっとお粥ばかり食べていたよ。朝にお粥、観光して帰宅後、おやつにお粥、そして夕飯後の寝る前にもお粥。タンpapaたちは、マレーシアのバラエティ豊かな食文化に誇りを持っていることもあって、お粥三昧の彼らの食事に驚愕していた。なんてつまらない! おもしろみのない食なんだ! と。でも、私は彼らにシンパシーのような気持ちも抱いたよ。私はもともと素朴な味覚の持ち主で、白いご飯に焼き海苔と醤油がこの世でいちばん美味しいご飯と思っている人間だから。

 タンpapaは8歳まで潮州で育っているけど、すっかりマレーシア人なのか、このオリーブの塩漬けはたまにチャーハンにするぐらい。タンmamaと義姉にいたっては見向きもしない。なぜか私だけが、潮州の親戚と同じようにお粥にのせて好んで食べている。私からすると、梅干しを彷彿させる味で、お粥にぴったりなのだ。

 ちなみに、こんなお粥のおとももあるよ。「紅麹の腐乳」は、もろみっぽい香りで、きゅうりにつけて食べてもおいしい。オリーブは、塩漬け以外に佃煮もある。どちらもマレーシアで買えて、おすすめ。

 そうそう、もうひとつ。お粥のレシピを紹介しておこう。お米1合に対して、水をだいたい8カップ程度。水が沸騰したら、お米を入れて、5~6分ほどゆでたら、蓋をして蒸らす。だいたい30分ぐらいで完成。日本のジャポニカ米とは違う、マレーシアのインディカ米でもとってもおいしくできるよ。

 音さんいわく、マレーシアのお粥の種類は2種類あるらしいね。私が作っているのは、米粒が残っていて水分多めのサラサラタイプ。タンmamaが作るのは、米粒が残らなくなるまで煮込むトロトロタイプ。どうも、さらっとした私のタイプのほうが、潮州の親戚の好みにはあったみたい。そんなこともあって、このオリーブが育った中国の潮州に行ってみたいなぁと思っている。意外に私、潮州でも嫁として生活できるかも!なんて、オリーブを口に含みつつ妄想中。

 余談だけど、このサラサラ粥の作り方、私の母の故郷である和歌山のソウルフード、茶粥と同じなんだよ。茶粥はほうじ茶を使って炊くもので、お茶漬けに近い味。とてもおいしいし、子どもたちも大好きなので、マレーシアでもときどき作っている。

 

 今日はここまで。この連載はどんどん続きますので、みんなお楽しみに!

text and photo by Tanmari

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