マレーシア料理図鑑90/おやつ/上級★★★★★★★★/地域限定食、ハレの日の料理/
もち米と麹で作る発酵したおやつで、ひと口サイズでジューシー。自然発酵に委ねる特別な日の味。写真はクアラルンプール郊外のサンデーマーケットで食べたもの
タパイを解説
甘酒のような香りと味がするご飯のおやつ。甘くてジューシーです。
ラギとよばれる麹でもち米を発酵させたもので、発酵の度合いによって味(甘い、甘さひかえめ、香りがやわらか、香りが芳醇など)が違い、人それぞれ好みの味があります。
断食明けの祭り、ハリラヤのような、特別な日に提供されることが多いです。いわば、発酵という自然の恵みは、特別な日の味にぴったり、ということ。
まれに、地元のタパイ名人が普段の市場で販売していることもあります。
タパイはどうやって食べる?
葉っぱを開き、ひと口サイズのご飯を手でつまんで食べます。ちなみに、タパイは3~5日で発酵し、食べごろは1〜2日程度。そのため、おいしいタパイに会うには運も必要。
タパイを初めて食べる人へ
葉っぱを開くと小さなご飯の塊。手で触れると、汁っぽい感じもあります。
芳醇な香り、ふくよかな甘み。たとえるなら、米ごと食べる甘酒です。自然発酵で、そのつど味が違い、発酵が進んだ方が、より甘くジューシー。進む前のさっぱり味を好む人もいます。
ちなみに、プルッ(もち米)だけでなく、タパイ・ウビ(キャッサバを発酵させたもの)も人気。さらにボルネオ島サバ州でいう「タパイ」は、長期発酵させた液体のお酒。宴では朝まで飲み明かすそうです。
ミニエッセイ「揺れる味がいい」
自然発酵で作るタパイは気温などの影響を受け、味が変わる。そのため出会ったタパイの数の味がある。初めて食べたタパイは小さな町のバスターミナルで買ったもの。米はやわらかく、甘くて水分たっぷり、すごくおいしかった。また、サバ州のルングス族の村で食べたのは、発酵はほとんどしていないもの。食感は普段のご飯で、ほのかに甘い香り。子どもにも人気のおやつだった。タパイは、特別な手をもった人だけがおいしく作れる、といわれる。きっとタパイは計測できないものを味わうものだ。
Memo
タパイは、ゴムの葉やバナナの葉に包んで発酵させる。
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