マレーシア料理図鑑67/おやつ/中級★★★★★★/料理に詳しい人や食べ比べたい人へ/
果物に独特のソースをあえたおやつ。日本にはない新しい味に挑戦したい人におすすめ。写真はクアラルンプール近郊の住宅街の果物屋台で持ち帰り注文したもの。撮影は聖子さん
ロジャ(フルーツ)を解説
フルーツのおやつです。ロジャソースにあえて食べます。
ロジャソースがどんな味かというと、甘じょっぱくてフルーティ、ほのかな辛味に、香りは独特というかなりユニークな味。材料は、椰子砂糖、黒醤油、タマリンド、トウガラシ、そして海老ペースト(発酵海老のブラチャン)です。砕いたピーナッツをトッピングするのもポイント。青マンゴー、ジャンブ、グアバなどの酸っぱい果物をよく合わせます。
初めて食べたときは、正直、微妙な味だな……と思ったのですが、何度か食べるうちに見事にハマり、最近ではロジャが食べたい!モード全開に。
甘じょっぱい味なので、和食にたとえるなら、みたらし団子や田楽味噌の系統。もっとシンプルなイメージでいえば、スイカに塩をかけた味の系統です。
ロジャ(フルーツ)はどうやって食べる?
フルーツを選べる場合は、パイナップル、グアバ、ジャンブーがおすすめ。パパイヤもおいしいです。時間が経つと果物の水で味が薄くなるので、できたてを食べましょう。
ロジャ(フルーツ)を初めて食べる人へ
真っ黒で地味な見ためですが、フルーツの甘酸っぱさ、ソースのコク、ピーナッツの食感、野菜のみずみずしさなど、多彩な味覚が楽しめる料理です。
よくフルーツサラダと訳されますが、サラダのように料理の前菜に出てくることはなく、小腹が空いたときのおやつに食べます。フルーツ屋台での注文です。屋台の扇風機の風にあたりながら、ロジャを竹串でさして口にほおりこみ、ボーッと涼むのが、よくある光景。
フルーツで水分補給ができ、ソースで塩分や糖分も摂取できるので、とくに暑い日にロジャを食べると体が喜ぶ気がします。
ミニエッセイ「果物とマレーシア人」
マレーシア人は果物とともに生きている。朝食に果物、デートで果物、学校の昼休みに果物、映画を見ながら果物、のように。そんな果物ライフでうまれたのが、果物のさまざまな食べ方だ。塩や砂糖をまぶして甘みを引きたてたり、梅干しやトウガラシのパウダーをまぶして味変したり、衣をつけて油で揚げたり。ソースであえるロジャもそのひとつだ。ロジャは、ごちゃまぜという意味をもつ。様々な食材や味を混ぜた料理ロジャは、混ぜることで、均一な味ではなく唯一無二の味になる。それはマレーシアの文化そのものだ。
Memo
中国系ロジャに欠かせないのは、上からパラパラとふりかけるピーナッツ。香ばしさが絶妙なアクセントだ。ちなみに写真のロジャには揚げたパリパリ煎餅(Fried Keropokとよぶ)も追加している。ロジャの命であるソースはお店の手作りで、店によってさまざまな味がある。
Memo
ロジャはフルーツ系、インド系、ジョホール系、ペナン系と多種あり、それぞれ具やソースが違う。フルーツ系は、ここで紹介しているもの。インド系は野菜や小麦粉でつくる揚げものと千切りの生野菜がメインの具で、甘辛くソースや柑橘系の酸味を加えたさわやかピリ辛ソースをかけたもの。ペナン系は鮮魚(チェンフーとよぶ。*魚は入っていない)。
Memo
不思議なことに、わたしが今いちばん食べたいマレーシア料理は、このロジャ。日本には無い味、そこにしかない味覚というのは、心に刻まれるものなのだ。
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