マレーシア料理図鑑99/ご飯もの/上級★★★★★★★★★/マレーシア通やリピーターへ/
見た目や名前はインパクト大だが、食べると普通においしい、もっちりご飯。ボルネオ先住民の伝統食。写真は、サラワク州の夜市で食べたもの
ウツボカズラご飯を解説
ボルネオ先住民の伝統食。見ためはインパクトがありますが、味は意外に普通のもっちりご飯です。
特徴は、なんといっても食虫植物ウツボカズラの捕中袋を容器に使っていること。なかのご飯は、ココナッツミルク味のもち米「レマン Lemang」です。残念ながら、じつはオリジナルのレマン版はまだ食べたことがなく、この記事の写真は、サラワク州の夜市で販売していたスペシャル版。中華ちまきのような味でした。
森に自生するウツボカズラを使うため探す、収穫、洗浄など手間がかかり祝いの日の料理に登場します。
ウツボカズラご飯はどうやって食べる?
外の皮(袋)は簡単に破れるので、剥いて食べます。本来、この料理は、先住民が家で作る料理で、外食するものではありません。ただその珍しさから人気になり、最近は夜市での販売もあるのです。
ウツボカズラご飯を初めて食べる人へ
森の恵みを活用した料理です。サラワク州のガイド、鍋さんによると「ウツボカズラご飯を作るのは先住民のなかで、イバン族やビダユ族です。彼らは、ウツボカズラが多く自生する森の近くに住んでいます。また、祝い料理とよくいわれますが、自然の恵みなので、いつ収穫できるかわかりません。どちらかというと、森に生えていたので調理しよう、という感じで作っているようです」
ちなみに、調べてみるとサラワク州以外に、クアンタン州やタイでも食べられているようです。
ミニエッセイ「小分けで便利」
ウツボカズラご飯を口に入れるのは正直、ドキドキだった。舌に刺激があったり、苦かったりしたらどうしよう…。だって虫を溶かす植物なのだよ。なんて思いながら口に入れると、拍子ぬけするほど、普通においしい。味付きで、まさに中華ちまき。ウツボカズラ感は、ほのかに感じる柏餅の葉っぱのような香りぐらいだった。平常心に戻り、あらためて眺めてみると1個ずつ小分けになっているし、皮に覆われていて手が汚れないし、たしかに、大勢が集まる祝いの宴つまりパーティー料理にぴったりだね!
Memo
先住民が祝いの料理として自宅で作るもの。最近はめずらしい料理として注目されるようになり、上記の夜市のように一般向けの販売も。なお、森で自生するウツボカズラの袋が調理に使えるのは収穫後3〜4日以内で、手間とコストが非常にかかる。
Memo
「ウツボカズラご飯を作るのは、先住民のなかでもイバン族やビダユ族で、ケランガス(ヒース林)という植生(この種類のウツボカズラが多い)のある森の近くに住む人々です。祝い料理とよくいわれますが、先住民にとって大事なガワイの収穫祭でウツボカズラご飯がふるまわれるたのを見たことはありません。たぶん、日本であれば、山菜の旬の時期に山菜料理を楽しむ、のような感覚で、森に生えていたから調理しよう、という感じでは。ただ、このウツボカズラは年中見られるので、いつ食べるかという時期に関しては、つかみどころのない感じです」(サラワク州在住の観光のプロ、鍋島さん情報)
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