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現地に瞬間移動したような再現度! ナシカンダー専門店が東京にオープン

【CREA WEB】 マレーシアごはん偏愛主義! より 2022年3月17日配信

東京にナシカンダー専門店がやってきた!

 こんな日が来るなんて、感無量です。懐かしいスパイスの香りに、おなじみのカラフルなメラミン皿。その上には、チキンとイカのカレー、ごろごろ野菜のスパイス炒め、半熟卵などが、皿からあふれんばかりに盛られています。 

頑丈で軽いメラミン皿は、マレーシアの屋台でおなじみ。複数の料理がワンプレートにぎゅうぎゅうに盛られているカオスな感じも現地そのもの。


 もしや店の扉は「どこでもドア」だったのでは⁈ と思うほどマレーシア感満点のここは、東京・大手町、2月にオープンした「ゼロツーナシカンダールトーキョー」(以下ゼロツー)。日本初、マレーシアのナシカンダーを再現した店です。

 ナシカンダーとは、マレーシアで発展したカレー食堂のこと。インドにルーツをもつ人々が、ご飯(ナシ)とおかずを天秤棒(カンダー)で売り歩いたのが始まりといわれ、現在はカレーを中心としたスパイス料理を提供する食堂に。

 店頭に料理が並んでいて、そこから好みの味をチョイス。それらをワンプレートで楽しむのが、ナシカンダーのお決まりのスタイルです。

「ゼロツー」でも、ライス、メイン、副菜、カレーの4つのジャンルから好きな味を選んで、Myプレートを完成させることができます。

カレーは6種あり、そこから2種選ぶ。右から、チキン、エビイカ、季節野菜、ダール・フライ、短角牛、ダッグマサラ(期間限定)。スパイスの風味は濃厚だが、辛さはマイルド。
料理が目の前に並んでいるので、実際に見て選ぶことができる。
会計はサンドイッチチェーン「サブウェイ」と同じスタイル。料理が全て盛られたら、会計を済ませ、プレートを受け取って席に着く。

東南アジアとインドが融合したマレーシアカレー

 もちろん仕組みだけではありません。味にもナシカンダーのエッセンスが効いています。

 たとえば、マレーシア料理によく使われるパンダンやコブミカンのハーブ。カレーに入れると、スパイスの刺激はまろやかになり、香りにグッと深みが増幅。

 また、隠し味にナンプラーを加えて、インドカレーとはまた違った食べやすいテイストに。

ワンプレートで楽しむのが基本で、追加もできる。組み合わせでさまざまな味が楽しめるので、毎日通っても飽きない。
エッグ・ナシカンダール 1,200円。スパイスオイルに漬け込んだ半熟卵、ココナッツミルクでマイルドに仕上げたイカカレーは素揚げのエビ付き。手前右はひよこ豆のダール・フライ(追加は450円)。
フィッシュ・ナシカンダール 1,550円。さくっと軽い食感の揚げ魚、驚くほどやわらかな短角牛カレーはジャガイモにも味が染みている。ちなみに、オクラともやしはナシカンダーの定番のトッピングで無料サービス。

おすすめのトッピングはこちら

 エッグ、フィッシュのほか、グリルチキン、ラム肉カトゥレットといったメインのおかずも、トッピングとして追加できるのでおすすめです。 

スパイスに漬け込み、低温調理で仕上げたグリルチキン。肉質はしっとりとしていて柔らかく、皮目はパリパリで香ばしい。(写真は追加注文の場合で350円)。
スパイスの衣をまとったラム肉カトゥレット。ラムのガツンとした力強さに、カレーリーフのさわやかな香りが絶妙。(写真は追加注文の場合で550円)。

 ちなみに、どの料理も唐辛子の辛さは控えめ。辛くしたい人は、卓上にある自家製調味料チリパディ醤油(チリパディとは、マレー語で小さな唐辛子という意味)か、辛さ増しペースト(+100円)を加えましょう。自分好みの辛さで楽しむのもマレーシア流です。

ナシカンダーの歴史に人生を重ねるまるちゃん

「ゼロワンとゼロツーはコンセプトが違うので、似た料理はあっても同じ料理はありません。どちらも僕が現地でうまい! と感動した味です」とまるちゃん。

 さて、「ゼロツー」という店名から、カレー好きの方ならピンときた方も多いのでは。大阪の間借りカレー店からスタートし、現在は、東京・三田の人気店として知られる南インド料理店「ゼロワンカレーA.o.D」(以下ゼロワン)を。

 ゼロワンオーナーの立田侑志さん(通称まるちゃん)がインドへの料理研究旅の途中で、偶然立ち寄ったマレーシアのカレー文化に魅了され、2店舗目として新たにオープンしたのが「ゼロツー」なのです。 

 「インドのカレーとナシカンダーのカレーには、別のおいしさがある。もしかしたらナシカンダーのほうが日本人は食べやすいかもしれません」とまるちゃん。

 そして、「マレーシアに渡ってきたインド移民が、金もない、コネもない、店もないという状態から、料理の腕だけで勝負して作り上げたナシカンダー。この歴史にロマンを感じます」と。

店内は全面窓ガラスで開放感がある。1人でサッと食べられる気楽さもいい。

 もうひとつ「ゼロツー」でおすすめなのが持ち帰り。注文すると、料理がバナナの葉っぱに包まれて弁当箱にイン。

 家に着くころには、ご飯とカレーが一体化して、さらにバナナのトロピカルな香りをまとい、おいしさがアップしているのです!

どの料理も持ち帰りOK。バナナの葉を皿にして食べると、これまたマレーシアに瞬間移動したような気分になる。
店内を彩る絵は、インドユニット「マサラワーラー」の武田尋善さんが描いたもの。店内の奥、「ツインタワーを占拠するオランウータンとマレーグマとマレーバク」も必見。

 料理はすべてイスラム教徒の方も安心して食べられるハラル対応。ベジタリアン・ナシカンダーも用意されていて、誰もが楽しめる店です。マレーシアのカレー文化をぜひご体験あれ。

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