マレーシア文化通信『WAU』10号から転載 2016年12月1日配信
We Love Nasi Lemak
マレーシアでいちばんよく食べられている料理、ナシレマ。ココナッツミルクで炊いたごはんそのものを指す言葉であり、おかずがのった状態の料理名でもあります。最近では、米誌『TIME』が“世界のヘルシー朝食”に認定し、おいしさに加えて栄養バランスもいい、というお墨付まで。マレーシア料理のことを知りたいなら、まずはナシレマから。(文・撮影・校正 古川音)
ナシレマの基本形とは?
「ナシレマください」と注文すると、ナシレマの周りに、キュウリ、卵、ピーナッツ、煮干し(現地語でイカンビリス)、サンバルが無料でついてきます。レンダン(肉の煮込み)や鶏の唐揚げなどのおかずは追加注文です。
ナシレマは、マレーシアのどこに行っても味わえる非常にポピュラーな料理です。日本のマレーシア料理店でも、ほぼ全店でナシレマを提供しています。
ナシレマの食べ方
ココナッツミルクで炊いたごはんのまわりに、先に紹介したキュウリ、卵(ゆで卵が多いが目玉焼きのときも)、ピーナッツ(皮つき)、煮干しなどのおかずを盛りつけ。そのとなりに、唐辛子と玉ねぎで作ったサンバルソースを好みの量のせ、それらを全部よく混ぜて食べます。
ココナッツミルクの甘い香り、唐辛子のぴりっとくる刺激、煮干しやピーナッツの香ばしさ。いろんな味が口の中で複合的に広がり、なんともいえない奥深さ。辛いサンバルさえ気をつけていれば、ひとつひとつのおかずはスパイスを使っていないシンプルな味なので、アジア料理初心者でも安心。また、そのサンバル自体も長時間炒めた玉ねぎがコクのある甘みを加えていて、一度食べるとやみつきになります。
ナシレマの歴史
もともとナシレマは、農家の人が畑仕事の前に簡単に栄養がとれる朝食として作ったのが始まり。それが今では、屋台やレストランで提供され、家でも作られる、マレーシアを代表する国民食になりました。小腹が空いたときにおやつ感覚で食べるミニ版から、おかずがたっぷりのったワンプレート・タイプ、自分でおかずを選ぶカスタマイズ・ナシレマまで、バリエーションも豊か。これもナシレマ、あれもナシレマ。ナシレマは、マレーシア人の生活にいつも寄り添っているソウルフードなのです。
(※Nasi Lemakの発音はナシルマと表記されることも多い。)
ナシレマ好きによるナシレマ写真
ナシレマへの情熱
マレーシアに帰省すると、空港に着いてまず向かうのは、お気に入りのナシレマ店。僕はナシレマにはこだわる方なので、お気に入りの店でしか食べません。とくにペナン島の「Gerai Kak Sal」が好きで、週に3回以上は食べてるかな。僕たちマレーシア人は、朝食でナシレマを食べて、その日のパワーを充電するのです。(日本在住のマレーシア人ザムリさん)
ナシレマの誘惑
「ナシレマが好きで好きでたまりません。以前、マレーシアに旅行した友人から「ナシレマを土産に持って帰るから、空港まで迎えに来て」といわれ、早朝6時半に成田空港まで車で迎えに行ったことがあります。わら半紙に包まれたナシレマは、とてもおいしそうでしたが、食べてみたらちょっと酸っぱかった……。青春の甘酸っぱい思い出です」(竹花忠男さん)
おまけ。コンビニ計画進行中?!(希望)
マレーシアでは、コンビニエンス・ストアでナシレマを販売しています。その様子はまるでおにぎり。考えてみれば、サンバルは日本で一時期流行した“食べるラー油”に似ているし、米食は共通。煮干しは味噌汁やおせちでおなじみの食材。日本でも“マレーシア版おにぎり”としてナシレマを販売したら、けっこう売れると思います!
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