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「すべての食には、人のぬくもりがあった」 マレーシアごはんツアー in コタキナバル レポート

2015年10月8~12日、全5日間のスケジュールで、マレーシアごはんツアーに行ってきた。今回の渡航先は、ボルネオ島北部に位置するサバ州の州都、コタキナバル。参加して下さったのは、初の男性参加者ひとりを含む、合計8人。

コタキナバル空港に到着したのは夜の8時半。ホテルに荷物を置いたら、さっそく海辺の海鮮屋台にゴー!

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200席以上はあろうかと思われる巨大な屋台。夜遅かったので、にぎやかな夕食の時間は過ぎたあと。うす暗い電灯の明かり、雑多にものが置かれた露店の軒先。注文が通じたのか通じていないのか、いまいち判断しにくい、でも、笑顔はとびっきり可愛い小柄な女性店員。この空気感! あぁマレーシアに来たぞーと細胞の隅々まで実感が満ちてくる。

1日目の夕飯で訪れたのは、フィリピン系のムスリム市場。アルコールは無く、串ざしの大海老、炭火で焼いた甘辛の手羽先にあわせるのはソフトドリンクだ。焼き魚3種(チリ味、ガーリックバター味、サンバル味)とBBQイカも注文し、みんなで食事に集中。暗い店内は撮影に不向きで、料理写真はどれもぶれぶれだったけど、帰国後にあらためて振り返ってみると、この店の雰囲気がいちばんマレーシアらしかったように思う。

うす暗い場所。

マレーシアには、こんな場所がいくつもある。日本のように、夜でもピカピカに明るくて、なんでも見えるのではなく(言い換えれば、なんでも見えるのが良しとされているのではなく)、マレーシアの世界は、ちょっと暗くて、すこし不安がある(言い換えれば、その暗さを当たり前として享受している)。その暗いものに対する心の揺れ、見えないものに対する恐れが、私はマレーシアの世界を豊かにしていると思う。平面ではなくて、凹凸があるんだよ、マレーシアには。

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さて、2日目は「成興茶室 Seng Hing」の麺料理で朝ごはん。ご当地麺「ミートゥアラン」、汁無し「コンロ―ミー」、レモングラスが爽やかに効いた「トムヤムミー」、辛くない「チャークイテオ」。計4種の麺に、鶏の足のさっぱりサラダ。

赤いスパッツが抜群に似合っていたお店のおばちゃんと記念撮影。おばちゃんは、社交ダンス界で活躍するプリンセス。とびっきり明るくて、注文も完璧だった!おばちゃん、これからも頑張ってね。

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その後、活気のある海鮮市場を散歩し、お腹がこなれたところで、カレー食堂へ。スリラタカレーハウス Sri Latha Curry House。どどん!これはフィッシュヘッドカレー、大ぶりの魚の頭を豪快にカレーにしてある。

dsc_0066 フィッシュヘッドカレーはマレーシアの名物料理で、昨年のペナンのごはんツアーでも注文した。その写真がこちら(下記)。中央右にあるのがフィッシュヘッドカレー。

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レストラン内で撮影したため、店内照明の影響もあるが、ペナンのほうが黄色っぽかった。ターメリックが多めで、クミンやコリアンダーなどのスパイスもたっぷり効いていた。それに比べて、コタキナバルのフィッシュヘッドカレーは、スパイス特有のざらつきがなく、唐辛子の辛さがストレートにガツンとくる感じ。そこにタマリンドの酸味が効いていて、さっぱり。暑い気候にはぴったり! でもペナンもコタキナバルも共通していたのが、魚が新鮮なこと。身はふわっふわにやわらかく、上品な甘さ。海辺の町のフィッシュヘッドカレーは最高である。

ここでは、All About コタキナバルガイドの志帆さんがジョインして下さって、おすすめを注文。なかでも、この「うずら鶏のから揚げ」が絶品!
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そのほか、バナナリーフカレー(白いごはん or ブリヤニ)、たらこの揚げ物、ロティティッシュを食べ、スパイスの残り香を味わいながら、次の目的地へGO。

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到着したのはマリマリ文化村。マリマリとは、現地語で「おいでおいで」と誘う言葉。サバ州は、現在32の民族が暮らす超超多民族の地域。そのなかの6つの民族の文化が体験できる場所。

興味深かったのは、自家製酒リヒン醸造の工程。竹筒を使って野菜を蒸すという、昔ながらの調理法も見ることができた。サヤ族の伝統菓子「クエジャラ」、とても美味だった。

また、狩猟民族であるムルッ族の村に入る際の儀式を体験したり(演技とわかっていたのに、めちゃ緊張した…)、竹で作ったトランポリンで、みんなでジャンプをしたり。

童心にかえってワクワクしたからなのか、熱帯雨林の自然に包まれたからなのか、全身の毛穴から汗がどばっと出たからなのか、マリマリ文化村の見学を終えたら、なんだかサウナ帰りのようなさっぱりした気分。悪いもんが体から全部出ちゃったらしい。マリマリ文化村にはデトックス効果があります。

そして夕飯へ。今宵は、バクテー3種の食べ比べ。まずはスープバクテー。こちらの祐記は、ホルモン、三枚肉、バラとそれぞれの部位ごとに提供されるタイプ。ぷりんぷりんの食感の豚のつみれがおいしい。揚げパンをスープにたっぷり浸して食べれば、至福~。
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お店を変えて、シーフードバクテー。豚肉の変わりに、海老と蟹が土鍋でグツグツと煮込まれたバクテーで、漢方の匂いはひかえめ、海鮮のうまみがたっぷり。ひと口食べて、辛い!と思ったのは、生姜と唐辛子を加えて煮こんでいるため。おかげで体の芯からぽかぽか~。

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ドライバクテーは、やわらかく煮込んだ豚肉をオクラや唐辛子と一緒に強火で炒めてある。これは白いごはん、おかわりください!な味。たっぷり食べて、デトックスして、体が温まって、2日目が終了。


さて3日目。ふわっふわの“焼いていない”カヤパンで朝ごはん。カヤとはココナッツミルクと卵黄でつくるジャムで、マレーシア全土で定番の朝食。コタキナバルでは「ロティ・カウィン」=結婚するほど相性のいいパン、という名前があるそうで、それぐらい町の人に人気。驚いたのは、バターのとんでもない分厚さ。「スライスチーズと思った」と参加者の方が感想を述べられたほど、カロリー的にはちょっぴり恐ろしいやつだった。

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それからシャングリラ・ラサリゾートで、マレー語で森の人という意味のオランウータンを見学。

dsc_0190愛嬌たっぷりのオランウータンに癒され、こちらでもたっぷり汗をかいた後、今回のツアーの目玉である、サイモンさんのお家へ。

サイモンさんは、先住民族のひとつであるカダザン・ドゥスン族の出身。自宅で、もち米からつくる地酒「リヒン」を醸造している。その工程をていねいに説明してくれた。

カダザン・ドゥスン族にとって、お酒は行事や祭りには欠かせないものだ。それは、日本の日本酒の文化に非常に近い。マレーシアに、お酒を尊ぶ土着の文化があったなんて、コタキナバルに来るまで、知りませんでした。

食卓には、サイモンさんのお母さんや奥さま、会社の同僚が作ってくれた伝統食がずらっと並んだ。

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どれも素晴らしい味。なかでも、リヒン酒をつかった鶏スープの煮込み(サイモンさんの庭で飼っていた地鶏を使用)、ポークポリッジ、生魚のヒナヴァが絶品!

調理を作ってくれたお母さん、本当にありがとうございました。

dsc_0252-%e3%82%b3%e3%83%94%e3%83%bc総勢12人で食卓を囲み、ひと口ずつ味を噛みしめ、そしてしみじみ家庭でつくる伝統料理のおいしさを味わった。

その土地に代々受け継がれてきた伝統食。それをみんなで食べる、という行為。それは、土地のパワーを丸ごと受けとる儀式に近い。

サイモンさん宅で食べた食事は、味もさることながら、生きるためのエネルギーへの栄養、という感じがした。今風に言うなら、パワーフードだ。生きる源となっているエネルギーを補給する味。あのおいしさは、サイモンさん宅でしか味わえない、いや、あのとき、あの時間でしか味わえない。今も、そしてこれからも、あの味を思い出すとエネルギーが湧いてくる気がする。

感動ひとしおで、いったんホテルに戻り、タンジュンアルのビーチで夕陽を眺めた。

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そして、夕ごはんは「キンフー」で北京ダック。

北京ダックは、皮だけなく、身も食べるのがキンフー流。手作りの皮に包んで、ネギと一緒にパクパク。また、ここのお店の人気は焼き餃子。おぉ!これは日本人が大好きなパリパリ感!マレーシアで、こんなにおいしい焼き餃子を食べたのは初めてです。

キンフーはタンジュアルビーチ近くの人気店。19時も過ぎると、店内はあっという間に満席に。この夕ごはんには、ドゥスン族のカシミールさんとルングス族のシクラさん、KK在住のとみこさん、そして志帆さんもジョインしてくれた。

シクラさん、お酒が強いこと! 先住民の方はよくお酒を飲むと聞いていましたが、シクラさんを見て納得。それも、ごはんはあまり食べず、ひたすらビール。これは日本のビジネスマンと同じ飲み方ね、笑。というわけで、3日目が終了。


4日目は、ガヤストリートの日曜朝市。……の前に、ポークヌードルで朝ごはん。

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このポークヌードル、豚バラ肉が驚くほどやわかく、豚レバーがいいアクセント。とてもおいしかった。

このごはんの旅、振り返ると、豚肉料理が非常に多かった。トゥアランミー、バクテー、ポークポリッジ、餃子、ハム、ポークヌードル、それも臓物系の豚も。こんなにも多くの豚料理をツアーで食べたのは初めてだ。

というのもマレーシアは、イスラム教徒の方が多く、彼らにとってNGの豚肉料理店は数が少ない。ところがここサバ州は、約50%の方が先住民族で、おもにキリスト教を信仰。彼らは豚料理が大好きで、町のいたるところで豚料理店がある。

民族の共通語として、英語ではなくマレー語がつかわれているため、豚料理をマレー語で注文することも多かった。半島側だと、豚料理をマレー民族は食べないため、英語(または中国語)で表現することがほとんど。サバならではだ。

そして朝のマーケットでぷらぷらと。オレンジ色のドリアンを発見したり、ココナッツアイスにうまーいと叫んだり、パールのブレスレットを3本で300円にねぎったり。楽しみました。

最後の晩餐は、シーフード専門店。アジアシティセンター1階のウェルカムシーフードで円卓を囲む。蟹のカムヒョンソース、海老はバター味(ドライ)と蒸しの2種、白身魚の生姜蒸し、カイラン炒め、ジャガイモの葉炒め、アサリのガーリック炒め、モンゴリアンチキン、ココナッツプリン。

ここでは、以前マレーシア料理教室に参加してくれていて、現在コタキナバル在住のなおみさんがジョイン。またお会いできるなんて、とてもうれしかった。

そこで、なおみさんもおっしゃっていたけど、私もしみじみ感じた事。

「大勢で食べる料理は、ひとりで食べる料理と味が違う」

わたし自身、ひとりでご飯を食べる機会は非常に多く、ひとりごはんも嫌いではないけれど、でも、大勢で食べると、味が違うのだ。

大勢で食卓を囲むこと。
あれこれ味の感想を言いながら、ご飯を食べること。
それは、生きる、という人間の根源に関わることをみんなで行うこと。そうやって食べたご飯は、命にダイレクトに響くようになる。

大勢で食べる料理は、やっぱりおいしいね。
だって、円卓の中央に置かれた料理は、なんだかとっても嬉しそうに見えたもの。

今回の旅で、いろんなことを学んだ。
伝統食というパワーフード。そして、地元で愛されている料理をみんなで一緒に食べるという行為。それは、想像以上に命が喜ぶことのような気がする。

今回、いろんなご縁で参加して下さった皆さま、本当にありがとうございました。年に1度の大イベントをご一緒できたこと、心より感謝しています。(古川音)

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