ジャーナル

「貝って常温保管?」 タンマリのマレーシア家族のごはん Vol.05

マレーシアのリアルな台所事情。華人系の嫁タンマリが、ごはん記録を通して、現地で暮らして感じたこと、自分のなかの変化、周りの人との関係などをつれづれに語ります。

日本人タンマリ。ダーリンは華人系のマレーシア人。2018年の4月1日より、ダーリンの実家であるマレーシアのジョホールに子ども3人と移住。義父(タンpapa)、義母(タンmama)、義姉、長女8歳、次女5歳、坊3歳と計7人暮らし。ダーリンは日本で仕事。
 この連載について / タンマリと家族のプロフィール

Tanmari’s food diary in Johor,

気温30℃以上のマレーシアで、常温で貝を放置ってアリ⁈

8th June. 2020: Dinner Menu 貝のにんにく炒め、蒸し魚梅干風味(潮州スタイル)、クレソンと肉ボールのスープ、モヤシ炒め、青菜炒め   / Place : 家Malaysia

text and photo by Tanmari

 今日は朝5時に起きて買い物へ。よしよし、こんなに朝早くに買い物だなんて、私もマレーシアの主婦として一人前になってきたもんだ。家を出たときは、こんな景色だった。まだ薄暗い。

 なぜこんなに朝早くに買い物に行くかいうと、近所の華人系おじさんがやっている店はとても人気で、朝7時にはもう、おすすめ食材なんてほぼ残っていない。早朝に買いにくるマダムたちに買い占められてしまうのだ。そこで今日こそは、と出かけたら、こんな戦利品がゲットできた!

 指の爪ぐらいサイズの小粒の貝。サクラ貝みたいに、むこう側が透けて見えるぐらいの薄い殻だ。食べたことも、調理法も知らないけど、まわりのマダムたちがどんどん買っていくので、私も!と買ってみた。隣にいたマダムに、カタコトの中国語で聞いてみたら、「ニンニク、生姜、チリで炒める」とのこと。なるほど、中国料理の鉄板やな。

 そうこうしているうちに、どんどん食材が売れていくおじさんの店。見れば、トラックに食材を積み込んでいて、これから町を巡回するようだ。

 店を出ると、外は明るくなっていて、大通りには、ぽつぽつと店が営業している。店といっても、車の荷台で売っていたり、車のトランクの上で売っていたりと、移動式の簡易ショップ。自家用車の豚肉やさんもとても人気だ。

 さぁ、帰ろう。店からわが家までは田舎ロードの一本道。この景色が、わたしはとても好きだ。

 さて、家に到着。さっそくタンmamaに貝を誇らしげに見せ「mama、今日はこんな珍しい物を買ってきたよ~」と報告。外国人嫁として、ローカル食材を積極的に挑戦している、とは株上げポイント(のはず)なのだ! mamaもこちらの予想どおり「よく、こんなの見つけたね~」と驚いてくれた。嬉しい。

 が、しかし。事件は夕食の準備のときに起こった。

「タンマリ! なんで、この貝、冷蔵庫に入れたの?! もう死んでいて使えないわ!」 えっ?? マレーシアは気温30度以上の激暑で、貝を冷蔵庫に入れずにおいておくなんて、それはないでょ……⁈

 と思ったが、口に出さずに、mamaの話しをよく聞くと、この貝は冷蔵庫にいれるとすぐに死ぬそうで、常温で置いとくものらしい。そうか、だからスーパーの冷蔵コーナーには売っていないのか。

 とはいいつつ、せっかく買ったのだからダメもとで炒めてみるか、と調理開始。油をひいたフライパンに、にんにく、生姜、唐辛子のみじん切りを加えて、香りが出たら、貝を投入。あっという間に貝の口が開いたので、そこに醤油をさっとまわしかけてでき上がり! 

 貝の口はわりと多く開いたし(開かないものもあった)、きっと大丈夫だろう!と食卓に並べたら、予想以上に子供たちに大人気! いつもは唐辛子や生姜で味つけした料理は敬遠しがちなのに、この貝自体の味がおいしいようで、よく食べる。たしかに、うまみがぎゅっと凝縮していて美味! 日本でよく食べていたアサリよりも濃い味でアタリだった。


 さてさて、貝といえば、ひとつ忘れられない出来ごとがある。忘れもしない2006年。タンpapaとmamaに結婚前のあいさつをしに行ったときに、悲劇は起こった。夕飯で食べた貝にあたったのだ……。

 当時、私は英語がまったく話せず、良い嫁になることをアピールするために「出された料理を猛烈に食べよう」と決意。そこで、すすめられるがままにパクパク食べていたら、その晩、私ひとり、腹痛でのたうちまわるという羽目に……。(ちなみに、みんなも同じ貝料理を食べたが、あたったのは私ひとり)

 腹痛に耐えられずに家族みんなで病院へ。そして、私は会ったばかりのタンmamaの膝枕で寝るという、ダーリンをはじめ皆がびっくりする、というタン家の新たな伝説を作ってしまった。あまりにもお腹が痛いので、ふかふかのmamaの膝が魅力的だったのだ。これは「新嫁がはじめて会った姑の膝枕をねだる珍事」として、今もなおタン家で語り継がれている。


 という思い出が走馬灯のように頭によみがえった私は、パクパク食べる子どもたちに恐怖を覚え、「そろそろ食べるのやめようね~」と思わず貝の皿を大人側に、笑。幸い、子供達はお腹を壊さず、その夜は本当にホッとした。

 貝の話しばかりしたけど、この日のメニューは「蒸し魚の梅干風味(潮州スタイル)」「クレソンと肉ボールのスープ」「モヤシ炒め、」「青菜炒め」。野菜多めのヘルシー食卓で満足満足。

 最後にこの写真を紹介しよう。

 ダーリンが一時帰国していたとき、紙飛行機で遊ぶ子供たちとダーリン。夕方涼しくなったので庭で子供たちと遊び、それから夕飯を食べた日の写真で、「あぁなんて人生は美しい!」と思ったのだ。今は日本とマレーシアで離れ離れで過ごすダーリン。彼を思い出しながら、この写真を眺めています。

END

  今日はここまで。この連載はどんどん続きますので、みんなお楽しみに!

text and photo by Tanmari edit by Oto

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