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「忘れられないもやし」マレーシアごはんツアーinイポー レポート

GOHAN TOUR in Ipoh, Report

 切り立つ岩山にかこまれたマレーシア第3の都市イポー。天然ろ過された水がキレイなことから、美食の町として知られている。2016年10月7日から6日間、5回めとなる「マレーシアごはんツアー」をこのイポーで開催。参加者10人でイポーごはんを満喫し、マレーシアの食文化にどっぷり浸った。

名物イポーチキンともやしが絶品!

 ツアーでいちばん盛り上がったごはんは、イポーの名物料理、ゆで鶏。地名を冠した「イポーチキン」という料理名で知られていて、これを食べるために遠くから訪れる人もいるという。

「イポーチキン」の鶏肉は、この地で育った地鶏を使用していて、身はやわらかすぎず味は濃厚。さっぱりとした胡麻油ダレとの相性がとてもよい

 

イポーチキンと一緒に注文したのは、鶏のゆで汁で炊いたジューシーごはん、しゃきしゃきのもやし、つるっと滑らかな麺「フォーファン」、具だくさんちまきなど。人気店「老黄」にて

 おいしかった!! しみじみ、イポーチキンのおいしさは、ほかの場所ではけっして再現できないと思った。なぜなら、イポーで育った鶏肉で、イポーで作られた生麺で、イポーの名水でゆでたスープから生まれた味だから。イポーの気候、風土、イポー人の歴史、文化をぜんぶ取りこんだ土地の味なのだ。

 そして、イポーチキンにかかせない名脇役。いや、イポーチキンをここまで有名にした立役者。それはもやしです!

たがかがもやし、と思うなかれ。しゃきしゃきと弾けるような食感、かむごとに口中に広がる甘い汁は、今まで食べていたもやしはなんだったのだろう、と思う味

 イポーのもやしは、短くて、ふっくら太い。色白で、艶々とした輝きもある。眺めていると、色っぽささえ感じるほど。大げさではなく、これが忘れられないおいしさ。 

ツアーのなかで、もやし工房も見学。イポーのもやしがおいしいのは、育てるときに与える地下水に理由がある。雨水が石灰岩の山々を通って地下にもぐりこむま際、石灰やミネラルを豊富に含んだおいしい水になる、という

 なお、ツアーに参加して下さったCrea編集者さんが、イポーもやしに感動し、記事にしてくれました!こちらもぜひご一読を。⇒ 美味なる「もやし」を求めて10時間。マレーシアの食都イポーで食べてきた!

 

度肝をぬく料理!蟹パン、カレーパン、なまこ

 イポーの絶品ごはんはまだまだあった。おいしいうえに、サプライズ満点の料理はこちら。

生まれたばかりの赤ちゃんぐらいの大きさ、重さの蟹パン。そのパンを開いて中から現れたものは…! 衝撃度No.1の料理 

 2斤サイズの食パン……かと思いきや、こんがり焼かれたパンに慎重にナイフを入れると、なかから現れたのは渡り蟹が2匹!それも殻ごと! これはイポー名物の「蟹パン」。スイートチリソースで炒めた「チリクラブ」がパンのなかに入っていて、外側のパンを中のソースにつけながら食べる。

 この料理、もともとはイポーのカンパーとよばれる地域に名物「カレーパン」があり、そのアレンジバージョン。もちろんオリジナル「カレーパン」もいただきました。これもまた、蟹パンに負けずとも劣らないインパクト! ぶつ切りの骨付き鶏肉がごろごろと入ったカレーがパンのなかにどかーんと入っているのです。

 このカレーが絶品で、参加者のなかには「ツアーNo.1料理」に、このカレーパンを挙げた人も。日本のカレーパンとは、見た目も趣旨も食べ方も何もかも違っているけれど、日本で販売したら、けっこう流行るかも!

巨大カレーパン。作り方は、まず調理済みのチキンカレーをアルミホイルやキッチンペーパーで包み、そのまわりにパンの生地をつけてオーブンで焼く

 もうひとつ。2日目の夜に登場したのは、中国料理で高級食材として知られる「乾燥なまこ」。これが仰天するぐらい大量に土鍋に入っている。こんなにも大量のなまこちゃんに遭遇したのは人生で初めて。今回のツアーでは最高額の料理でしたが、日本でこの量のなまこを食べたら一体いくらするんだろう…。

なまこ鍋、288リンギット。椎茸の出汁がまろやかで滋味深い。なまこには、疲労回復、免疫力アップ、冷え、老化防止などの効能があるといわれている

美食とイポー人のパワー

 土地の味を食べ、人気の名物グルメに盛り上がった今回のツアー。ほかにもこんな料理をいただいた。

 今回訪れたイポーは、中国系マレーシア人が多く暮らしているので、マレーシア自慢の中国系の料理を中心に食べ歩き。日本人になじみのある味も多く、どれもとてもおいしかった。

 そして、今回のツアーで感じたのは、イポー人のパワフルさ! 水が綺麗だからなのか、お肌つるつるで、美食効果なのか、みんなすこぶる元気。

 イポーは、中国の広東人を子孫にもつマレーシア人が多く、今回ツアーをサポートしてくれたバーリさん、ウーさん、チンさん、ライさんたち、みな広東系。だから彼ら同士で話すときは、広東語を使う。その声がとてもパワフルで(声のハリがすごい)、そして、会話が途切れることがない。ひとつの話題にあれよこれよと花が咲いてどんどん広がっていく。腹の座ったというか、地に足がついているというか、大地から湧き出るような彼らのエネルギーには、正直かなわないなぁと思った。

 最後に。今回味わったイポー名物は、昨年訪れたコタキナバルとは、使う食材も味付けも人の好みも、まったく違っていた。「マレーシア料理」とひとことにいうけれど、日本でも地域でそれぞれ違いがあるように、さまざまな味がある。人の営みや歴史の数だけ違いがあるのだ。だから、食を探るのはおもしろい。あなたたと私の顔が違うように、いろんな価値観が投影されているから。

 みんな違ってそれでいい。それこそが真実。

※All About の記事で、もやし工場の様子を書いているので、こちらもぜひ。
記事はこちらです。

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