ジャーナル

異文化に救われた私。マレーシア料理が教えてくれたこと

今回は個人的なお話しです。なぜ、わたし(ライター古川 音)がマレーシア料理に惹かれ、かれこれ20年近くもずっと伝え続けているのか。その理由とわたしのビジョンについてお話しします。


マレーシアは知る人ぞ知るグルメ大国です。

多様な民族が暮らすマレーシアは、バラエティに富んだ料理が、ふだんの食事として親しまれています。たとえば朝はカレー、昼は点心、夜は炭火焼きサテーのように。まるでアジアを一周したかのような多彩な味が、何も特別ではない、いつもの食事スタイル。

つまり、ひかえめに言っても、食いしん坊には最高の国です! ……ですが

食事がおいしくてバラエティ豊かな国は、他にもたくさんあります。

タイ料理だってシンガポール料理だってインド料理だっておいしい。なのになぜ、マレーシア料理なのか。

それは、私の個人的な体験から得た想いがあります。今回はそのことをお話しします。


きっかけはマレーシア滞在です。

2005〜2009年、マレーシアのクアラルンプールに住みました。今でこそ慣れ親しんだマレーシアですが、移住当初はびっくりするぐらい失敗の連続でした。英語は下手すぎて通じないし、駐車場で車はぶつけるし、道に迷って店に行けない。

そんな生活を打破しようと日本でやっていたライターのスキルを活かし、現地の日系出版社で働き始めました。(今思うとこの状態でよく働いたなぁ…) 

仕事は忙しくも楽しく、なかでもマレーシア人同僚とのランチタイムに毎回ワクワク。なぜなら「気温30℃なのに屋外で熱々の粥を食べるの?!」とか、「鮮やかな緑色のスープご飯がおいしい!」と発見の連続だったからです。つまり

“料理”という共通の話題のおかげで、カタコトの英語でもみんなと話せすことができた。

会話、味、ともに過ごす時間。この3つが、私のマレーシア滞在の支えでした。


4年の滞在をおえ、日本に帰国しました。すると、なんとなくというか、うまく言えないのですが

マレーシア移住前より、生きるのが楽。

驚きました。生きるのが楽というのは、そうですね、私は私でいいんだ、と思えるようになったんです。なぜだろう、と考えたとき、たぶんコレかな、と頭に浮かんだのは、異なる文化背景をもつ人々がともに暮らすマレーシア社会の影響でした。

すこし歴史的な背景を説明すると、今から約200年前、中国とインドから多数の移民が移り住んだマレーシアは、マレー系を加えて、三大民族から成る多文化国家になりました。

異なる習慣や宗教をもつ人々が、同じマレーシア人として暮らしている。そのため、みんな違ってあたり前という前提がある。

マレーシア人の友人によると、学校で「私たちはみんな違うけど、同じマレーシア人だよ」と教えられるそうです。そのため、ときに適度な距離を保ち、相手の存在を尊重することを大事にします。なぜなら、じぶんも相手と違うし、相手に尊重して欲しいからです。

もともとのわたしは、人と比べてばかりいる性格でした。それでいて人に合わせるのが苦手で、そこにしんどさがあったんです。でも多文化が共生するマレーシアでは

わたしはあなたと違ってあたり前。

そのうえで、私が何を大事にするか、それをていねいに伝えていく社会です。そこに正解、不正解はありません。わたしは周りと違っていいんだ。そんな当たり前のことに気づいたことで、あるがままの自分の価値を認めることができたのです。

そんな体験ができたマレーシアを多くの人に知らせたい。そう考えたとき、そうだ!マレーシア料理だ!とアイデアが浮かびました。なぜなら私が

マレーシアになじみ、マレーシアを楽しむことができたのは料理のおかげだったから。

よし、マレーシア料理を通して、マレーシアの魅力を伝えよう。そう決めたのです。


もうひとつ。マレーシア料理がバラエティ豊かなのは、各民族のルーツと深く関わっています。つまり

ルーツの異なる多様な文化が大事にされているからこそ、マレーシア料理は豊かでおいしい。

これもマレーシア料理の魅力です。

あとね、料理の知識があれば、マレーシア人と交流ができますよ。「好きな料理を教えて」「この辺りにおススメの店はある?」ここから会話が広がります。実際、帰国後に「マレーシアごはんの会」という食コミュニティを仲間と立ち上げ、そのおかげで、多くのマレーシアの友人ができました。みんな、本当ありがとう。

最後にまとめ。私がそうだったように、マレーシアはあなたがあなたのままでいられて、あなたの可能性を開くきっかけになるかもしれない場所です。そのきっかけ作りをしたい。その想いで、マレーシア料理を伝え続けています。

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