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マレーシアで発見した多文化共生に大切な4つのポイント

マレーシアは違う文化を持つ人たちが(例えば宗教、言語、食習慣が違う)暮らしている国です。つまり、多文化共生の社会を実現しています。

多文化共生、と言葉にすると、なんだかカタイ印象ですが、なにも大げさなものではなく、価値観がより多様になった現代では誰もが向き合う課題。

そこで、わたしがマレーシアで実際に体験したことで、多文化共生を実現するために大事だな(とくに料理分野で)と感じた発見ポイントを4つ、紹介します。


発見 1 料理が“見える化”されている。

マレーシアの食堂でおなじみ、完成された料理がずらっと店頭に並ぶスタイル(ナシチャンプルや経済飯と呼ばれる)。お客さんがじぶんで見て、選ぶ仕組みです。

これ、料理を実際に見ることで「カレーっぽいな」「辛そうだ」などの味の想像ができます。また、選んだ料理を見せて会計するのでこの店で会話は必須ではありません。つまり、互いの言語がわからなくても、料理名を知らなくても食べてみたい料理が楽しめるのです。この仕組みは多文化共生に便利で、そしてもちろん、旅人にとってもラクチンなシステムです。


発見 2 ノンハラルコーナーがある。

マレーシアの国教はイスラム教で、約7割の国民はイスラム教徒です。イスラム教の教えに則っているものをハラルといい、その逆がノンハラル。ノンハラルの代表格は、豚肉です。 

クアラルンプールなど都心のスーパーや市場には、メインの売り場とは別(奥の方に)に「ノンハラル」コーナーがあり、そこでは豚肉などのノンハラル食品を買うことができます。これは、豚肉がタブーな人、また逆に豚肉を食べたい人、その両方を許容する仕組みです。 

ちなみに、地域や客層によって豚肉がまったく置いてなかったり、反対に堂々と売っていたりと、その仕組みはフレキシブルです。 


 発見 3 適度な距離感をもっている。

宗教によって食のルールが違ったり、祖先のルーツによって好みがそれぞれなので、マレーシアでは民族で分かれて食事をしている光景をしばしば目にします。

これは何も仲が悪いわけではなく、違っているものを無理に合わせたり、押し付けたりしない適度な距離感です。

あなたと私は違う、が基本です。そのうえで、自分の文化が大事なので、相手の文化も尊重する、という感覚。不必要な干渉はご法度です。

食事は別でも、仕事を一緒にするし、仲良くもなれるのです。


 発見 4 個性とは重ねていくもの。

マレー人、華人、インド系。このように表現すると、民族の枠がくっきりあるように思えますが、実体はそうではなく、枠は混じり合い、重なり合っています。

料理でいえば、マレー系で中華料理が好きな人はいるし、インドルーツのロティチャナイは国民食になっています。

混じっても、元のものは消えません。民族、宗教、家族、居住地、食習慣、そういう様々な“じぶん”を重ねていく。経験、趣味も、どんどん重ねて、より唯一無二の自分になる。重ねていくことで、オンリーワンになり、そして同時に、周りとの共通点も増えるのです。 


さて、これらの発見ポイントをふまえたうえで感じているのは、多文化共生や多様性のある社会とは、言葉でいうのは簡単ですが、実現するのは難しい、ということ。(正確に表現するなら、難しいから実現できない、のではなく、難しいので訓練が必要、です)

なぜなら、多様でいい、ということは、私のその価値観を否定されても(多様性は必要ないと思う人がいても)それでいい、という考えだからです。

以前、あるマレーシア人が、異文化を理解をするには相手を知ることが大事、と話してくれました。

そうか、なるほど、そうなんだ!と思いました。
「知る」と「理解できる」は違うし、「知る」と「同感する」も違うでしょう。でも、違っても「知る」はできる。知る、理解する、でも強要はしない。

違う文化をもつ同士の適度な距離感とは、過度な無関心と不必要な干渉の、その間にある独立した個と個の関係性のように感じます。

ここは、わたしではなく、わたしたちの世界なのです。

 

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