マレーシア料理図鑑89/おやつ/上級★★★★★★★★/地域限定食、ハレの日の料理/
シャキシャキの生野菜と揚げもののコンビ。ペナンで人気の屋台料理で、小腹が空いたときや、料理が来る前の前菜に食べる。パッセンブー、またはインド系ロジャともよばれる。写真はペナンの海辺の屋台で食べたもの
パッセンブーを解説
ペナンのストリートフードの代表格。甘辛い味の具だくさんおやつです。
メインの具は、海老のかき揚げ、豆腐、魚のすり身など。どれも油で揚げた茶色のCucur(チュチュ=揚げもの)で、その上に、キュウリやセンクワン(日本語名はクズイモ、大根に似ている)をのせ、甘辛いソースをたっぷりと。
揚げものと生野菜の絶妙のコンビ。カリッ、シャキシャキッ、の食感がよく、濃厚なソースの味ながらも、野菜のさっぱり感がちゃんとあって、意外に箸が止まらなくなります。ビールにもよく合いますよ。
パッセンブーはどうやって食べる?
並んでいる具から食べたい物を皿に取り、店の人に渡します。大きな具は食べやすくカットしてくれます。その上に生野菜をたっぷりのせ、ソースをかけて提供してくれます。
パッセンブーを初めて食べる人へ
ペナン旅で食べて欲しい料理です。とくに屋台街ガーニードライブの名物。ソースは辛すぎないし、揚げものと生野菜を一緒に食べるアイデアは、なるほど!と思うおいしさ。
また、具を自分で選ぶのが楽しいです。たくさん、またサイズが大きい具を選ぶと大盛りになります。
ちなみにパッセンブーは「インド系ロジャ」とも呼びます。ロジャには“まぜこぜ”という意味があるため。ロジャという名前の料理もあり、こちらはフルーツをまぜこぜにしたもの。混ぜることで、魅惑の味になるのです。
ミニエッセイ「ロジャ〜♪」
パッセンブー(ロジャ)には有名な歌がある。ペナンの屋台街ガーニードライブにあるパッセンブー店のおじさんの歌だ。歌といっても「ロジャ~♪ ロジャ~♪」と多少の節をつけて、料理名を連呼するだけ。皿を高く持ち上げたり、ソースをかけながらくるっと回るなど、軽快な踊りつき。それが注目を集め、いつも行列だった。昨年、店におじさんの姿はなかった。風の噂によると、故郷に帰国したらしい。ところが、おじさんの歌声があっちでもこっちでも聞こえてくるのだ。見れば、いくつものロジャ店がラジカセでおじさんの歌を流している!おじさんの影響力は大きかった。
Memo
ロジャは、さまざまな具にソースをかけて食べるおやつ。中国系はフルーツ、インド系は野菜天入り(このパッセンブー)、ジョホール系は空芯菜と干しイカ入りなど、民族や地方によっていろんなロジャがあり、それぞれ具やソースが違う。ひじょうに似た料理でペナンの鮮魚(チェンフー)もある。
Memo
サラダと表現されることもありますが、日本人のサラダ感覚からはほど遠く、野菜やフルーツに加えて、厚揚げや海老のかき揚げなどの料理も具のひとつとしてカウントされている
Memo
ソースによっては、揚げ玉ねぎをペーストにして加ることも(これはチェンフーが多いかな)。また、小エビの発酵調味料ブラチャン、甘い醤油のケチャップマニス、玉ねぎやにんにく、トウガラシをペーストにしたサンバルを加えることも。とにかく複雑な味で、だからこそ魅惑の味。ロジャにハマると、マレーシアから抜け出せなくなること間違いなし
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