マレーシア料理図鑑88/ご飯もの/上級★★★★★★★★/地域限定食、ハレの日の料理/
竹筒で炊くという伝統調理が今も大事に守られている。筒型のもっちりご飯で、おかずと一緒に食べる。写真はジョホールにて、1年中営業している屋台で購入したもの
レマンを解説
筒型のもっちりご飯です。ルンダンやスルンデン Serunding という肉(ときに魚も)のふりかけと一緒に食べます(上の写真・右はスルンデンにつけて食べているところ)。
伝統的な調理法で作られていて、ココナッツミルクで浸水したもち米を竹筒に入れ、薪の火でおよそ4〜5時間。上下・表裏と火に接する位置を変えながらじっくり炊きあげます。
レマンは、イスラム教徒の断食月明けのお祭り、ハリラヤに欠かせない味です。この時期になると、路上に屋台が現れ、竹筒で調理をしている光景をよく目にします。
レマンはどうやって食べる?
ハリラヤの時期に食べるので、同じくハリラヤの定番料理ルンダンに合わせるのがポピュラー。ココナッツミルクとほんのり塩味でそのまま食べてもおいしいです。
レマンを初めて食べる人へ
もち米好きにはたまらないもちもち食感です。
ココナッツミルクの甘い香りに竹筒からするっと取り出せるよう竹の内側をくるんだバナナの葉のアロマもレマンの特徴。
竹筒でもち米を炊くのは、簡単そうに見えて至難の業だとか。全体にむらなく火が通り、やわらかく炊き上げる熟練の技。その調理の技は祭りの日に欠かせない味として現在も大事に受け継がれています。
ミニエッセイ「船の上でレマン」
レマンといえば、こんな思い出話を聞いた。釣り好きのマレーシア人、リムさん。若いころ、近所の屋台で買ったレマンを持って釣りに行くのが楽しみだったそうだ。「レマンは持ち運びが便利でもち米だから腹持ちもいい。船の上で食べるレマンは最高だよ!」とリムさん。レマンにそんなおいしい食べ方があったなんて。いいな~。リムさんの家の近くのレマン屋台はハリラヤ関係なく一年中営業していたという。ときにこんな店があるので探してみて。
Memo
竹筒に食材を入れて炭火で炙るのは、東南アジア各地でみられる伝統的な調理法。マレーシアでは、マレー半島やボルネオ島の先住民の調理法として知られ、なかでもサラワク州の「アヤムパンソ Ayam Pansuh」は有名。鶏肉、タケノコ、タピオカの葉を竹筒に詰めて蒸し焼きにしたもので、味つけは塩。蒸し焼きなので肉の味が濃く、旨味たっぷりのスープもとてもおいしい。
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