ASIA GOHAN COMPARISON (Thai, Indonesia, Singapore and Malaysia), Report
食べ比べて体感!アジアごはんの共通点と多彩さ。タイ、シンガポール、インドネシア、マレーシアの4カ国の料理を一同に集め、食べ比べてもらう「アジアごはんズ」主催の食事会。2回めの開催となった今回は「ごはんに合うおかず」12種、各国人気の「おやつ」4種をそろえ、約50名の参加者をもてなした。
共通点の多い、アジアごはん
地理的・民族的・気候的に近いこの4か国は、同じごはんが各国共通して食べられていてる。たとえば、今回シンガポールのおやつとして提供した「ボボチャチャ」(ココナッツミルクのおしるこ。今回のイベントはマレーシアで人気の食品ブランド「AYAM」※のココナッツミルクを使用)は、マレーシアでも人気だし、インドネシアの「サユール・ナンカ」(ジャックフルーツの煮込み)も、マレー料理店の定番。「アヤムゴレン」(鶏のスパイシー揚げ)はマレーシアだけでなく、インドネシア、シンガポールでも一般的。
マレーシアごはんの会やアジアごはんズの活動をとおして感じるのは、「国境を接し、民族移動の多いアジアの食文化は、グラデーションのように広がっている」ということ。
国境の向こうとこっちで人が食べているものがガラリとかわることはなく、つまり国境とは、単なる人が決めた政治的な区切りであって、文化という見えない価値を区切ることはできないんだな、と。食文化とは、そこに暮らす人々がみずから作り出したものなんだ、と。
そのことを思うと、なぜか心があったくなる。文化を、世界をつくっているのは、わたしたち、人なんだよ。
食べ比べると、たしかにその国の特徴的な味がある
同じごはんが食べられている、ということを知ったうえで、さらに深く探っていくと、またおもしろい。今回食べ比べてみて、たしかにこの味はその国で好まれている味だと感じた。
浅野さんのつくるインドネシア料理は、使うハーブの種類の多さに毎回度肝を抜く。ひと口で食べただけでは何の食材を使っているかわからない、魅惑的な複雑さがあった。
下関さんのつくる今回のタイ料理は、にんにくとナンプラーが味の決め手。和食にはない味なのに日本の食卓にも合いそうで、タイ人のふだんのごはんの奥深さを感じた。
伊能さんのつくるシンガポール料理は、シンプルな味付け。ある意味、いちばん和食に近い気がした。やわらかな食感を好むシンガポール人は、日本人との味覚の共通点が多いのかもしれない。
私のつくるマレーシア料理は、「食感」と「香り」を重視した。とくに、カリカリに揚げた煮干し、香ばしいカレーリーフ、ピーナッツの炒めものは、中国・インド・マレーの各民族が好む食材がぜんぶ入っていて多民族国家らしい料理だった(と自画自賛、笑)。
鶏のおいしさ、いろいろ
美女・高島さん司会のトークショーでは、「鶏料理」について各国の違いを談義。
インドネシアでは、肉の火入れは2重、3重に徹底的に行う、という。たとえば、鶏の唐揚げを作るのに、まず初めに茹で、それから揚げるという具合。マレーシアでは、鶏の唐揚げは生肉のまま揚げるので、そこは違う。ただ、日本のようにやわらかくジューシーな鶏肉よりも、肉汁がなくなるまでガッチリ揚げたもののほうが好まれるのは同じ。
この調理法は、暑い国で料理ができるだけ長くもつようにするコツであり、また、ヒンズー教の“生ものよりも火をとおしたもののほうが浄”という考え方にも関係しているのかもしれない。
それに対してシンガポールは、やわらかな(ときに歯ごたえがないぐらい)肉を好み、タイは、現地ではパサパサになるぐらいまでしっかり揚げた肉が多いが、人の嗜好としてはジューシーな肉も好まれるのでは、とのこと。
深いですね~。同じに見えるけど違うこと。当たり前だと思っていたけど当たり前じゃないこと。そんなことが世の中にはいっぱいある。だから、知ることは、体感することは、とてもおもしろい。そしていつも思う。みんな違って、それでいいのだ、と。
■当日提供した料理はこちらです
●インドネシア
トゥム・アヤム Tum Ayam 鶏ミンチのバナナの葉包み(バリ料理)
サンバル・プテ Sambal Pete プテ豆のサンバル炒め
サユール・ナンカ Sayur Nangka ジャックフルーツの煮込み
ルピス Lepis もち米のおやつ
●マレーシア
アヤムゴレン Ayam Goreng 鶏のスパイシー唐揚げ
イカンビリス Ikan Bilis 煮干しとカレーリーフ炒め
スルンデン Serundeng 鶏でんぶ
クエバカール Kuih Bakar パンダンと胡麻の焼菓子
●シンガポール
ペーパーチキン Paper Chicken
豆腐サンバル炒め Sambal Tofu
大根餅 Carrot Cake
ボボチャチャ Bubur Chacha
●タイ
ガイヤーン 鶏を焼いたもの
パット・ファクトーン かぼちゃの卵とじ
ムー・バット・ナムリアップ 豚ひき肉とオリーブの炒めもの
ウンカティ ココナッツミルク寒天
次回は3月末の土曜日を予定しています。各国で人気の屋台おやつ+お茶をご用意しますので、こちらもお楽しみに。(写真すべて、秋田カメラマン撮影)
※AYAMブランドは日本でも購入可。詳細はこちらのHPまで
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