マレーシアのリアルな台所事情(今回は装いについて)。華人系の嫁タンマリが、ごはん記録を通して、現地で暮らして感じたこと、自分のなかの変化、周りの人との関係などをつれづれに語ります。
日本人タンマリ。ダーリンは華人系マレーシア人。2018年の4月1日より、ダーリンの実家であるマレーシアのジョホールに子ども3人と移住。義父(タンpapa)、義母(タンmama)、義姉、長女8歳、次女5歳、坊3歳と計7人暮らし。ダーリンは日本で仕事。
この連載について / タンマリと家族のプロフィール
Tanmari’s food diary in Johor,
マレーシア人はオンとオフの洋服の区別がすごい! とくにファッションリーダーのmamaの目は確か。
21st June. 2020 : special topic, clothes
text and photo by Tanmari
突然、わが家の洗濯干し場の写真です。右と左に干し場が分かれていること、わかりますか。左の陰干しされているのが「オシャレ着」、右の日光にガンガンあたっているのが普段着。こんなふうに、タン家ではオシャレ着と普段着のあいだに明確な差があります。
先日のコラム「父の日」のこと。みんなでレストランに出かける前、タンmamaが子どもたちに声をかける。「早くシャワーを浴びて、Batu衣(バトゥイー / 衣とは衣服)着てー!」。「Batu衣」とは“お出かけ着”というタン家用語。私たちのお出かけスポットといえば、家から車で30分程度の場所にあるタウン「Batu Phat(バトゥパハ)」なので、Batuに着ていく服=お出かけ着となった。
子どもたちはそれぞれBatu衣を着ると、じぶんでタンmamaに見せに行く。タンmamaのチェックがはいるのだ。「その服はもう色があせてるね。古く見えるから変えなさい」「その色のスカートに、そのシャツは合わないわ」。タンmamaは洋服の仕立て店を20年以上営んでいて、若かりしころはこのエリアのファッションリーダー。写真を見せてもらったら本当に綺麗!
ちなみに、タンmamaが着ている素敵な洋服はすべて、タンmamaみずから仕立てたものというから驚き。そういうmamaなので、ファッションにはこだわりがあり、わが子、嫁と孫の装いにもしっかりチェックが入る。
じつは来馬当初、私は何度もオシャレの落第点をもらった。たとえば、色あせた洋服はNG。カジュアルなデニムはいいけど、古ぼけたものはダメ。また、カッティングがルーズなもの、体形に合っていないものはNG。そのため「タンマリ、これ着なさい」とショッピングモールで買ってもらったり、義姉から服をもらったりしたので、今は日本から持ってきた服はまったく着ていない。
マレーシアで暮らして感じているのは、マレーシア人は日本人よりも「晴れ着と日常着」をしっかり分ける習慣を持っている、ということ。それには3つの理由があると思う。
1 車移動なので、歩くことを想定せず、ガンガン攻めたオシャレを楽しめる(ヒールのある靴やスリットのある洋服、ロングドレスなど)。
2 一年中夏なので、晴れ着と普段着に分けないと、いつも同じ服になってしまい飽きる。
3 マレーシアの太陽光は強烈なため、すぐに服がいたんでしまい、普段着化するのが早い。
たしかに、マレーシアのギラギラ太陽のもとでは、地味な色や色あせた洋服を着ると、なんだかみすぼらしく見えてしまうのも事実。だから、マレーシアのオシャレ着にはこの強い日差しのもとで映える鮮やかな色とパリッとしたフレッシュな質感が求められる。
また、洋服を強烈な日光のもとで干すと、あっという間に日焼けで古ぼけてしまうので、オシャレ着は極力、洗濯回数を少なめに。オシャレ着は日陰で、さらに生地を裏返して干すのが鉄則(それが1枚目の写真です)。とにかく服の色がくすむのを嫌うのだ。
マレーシア人、とくに周りの華人系を見ていると、オシャレって大事だなぁと思う。厳密にいうと、オシャレする気概というか、気を大事にしている気がする。華やかな気をふりまくことで、その場のパワーや気を高めているというような。さらには、相手への尊敬となり、その相手もオシャレをすることで互いにパワーの交換をしていると思う。
田舎で育った私はオシャレに無頓着だったので、「おしゃれは当たり前であり、義務である」という家庭で育ったダーリンと結婚した当初は、この文化の違いにかなり驚いたものだ。現在、結婚して14年、来馬して2年。それなりにタンmamaに合格点をもらえるようになってきたので、私もすこしは成長したのな。それとも諦められたかな、笑。END
今日はここまで。この連載はどんどん続きますので、みんなお楽しみに!
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text and photo by Tanmari edit by Oto
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