おかず

ヒナヴァ Hinava

マレーシア料理図鑑98/おかず/上級★★★★★★★★★/マレーシア通やリピーターへ/

鮮度のいい魚を生のまま果汁でしめたもの。苦瓜、トウガラシを加えて大人の味に仕上げたおつまみで、祭りの日には酒に合わせて食べる。サバ州の先住民の伝統料理。写真はサバ州コタキナバルで、ご家庭でいただいたもの


ヒナヴァを解説

新鮮な魚を果汁で酢漬けにしたもの。ボルネオ島サバ州の伝統料理です。サバ州には30を超す民族が暮らしていて、そのなかのカダザン・ドゥスン族の味です。

水揚げされたばかりの新鮮な魚(サワラなど)を使い、柑橘の果汁をたっぷりかけてシメ、トウガラシ、玉ねぎ、苦瓜を加えてできあがり。とてもシンプルな調理です。

つまりは、あっさり味の生魚の酢漬け。酒に合わせて食べるのが定番です。


ヒナヴァはどこで食べる?

もともと家庭料理で外食の味ではありません。最近は、サバ州の伝統料理を提供するレストランで食べることができます。 


ヒナヴァを初めて食べる人へ

海に面し、新鮮な魚介類が豊富なサバ州ならではの味です。

柑橘カランマンシーの果汁を使うので酸っぱすぎない、ふくよかな味。あと味にジワッと広がるトウガラシの辛味が食欲をそそります。

カダザン・ドゥスン族の祭りの日には糯米を発酵させたリヒンなど酒が登場。酒に合わせるおつまみの代表格がこのヒナヴァです。

なお、バジャウ族の料理「キニラウ」やサラワク州の料理「ウマイ」も生魚を使ったよく似た料理です。


ミニエッセイ「思い出がパワーに

サバ州で暮らすサイモンさんの家でヒナヴァ、ピナサカン、バンバンガンなど家庭料理をごちそうになったことがある。どの料理も、素材の味をいかしたシンプルな調理で、とても食べやすい。そして不思議なことに、食べていると、体の芯に、ポッと温かい火が灯ったような感覚があった。食材の力なのだろうか、生きる源に栄養が補給された気がした。あの体験は一期一会のものだ。でも、あの味の記憶を思い出すと今でも心と体にパワーが湧いてくる。おいしい、は刹那的な幸せではない。あなたへの持続する応援なのだと思う。 


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