ひと足早く献本をいただき、拝読しました! おもしろかった!肉じゃがをとおして、日本の食文化の歩み、家庭環境の変化、世界の歴史まで。ひじょうにダイナミックな内容で、読む前の想像をはるかに超えたすんごくおもしろい本でした。
(詳細)
『日本の肉じゃが 世界の肉じゃが』(阿古真理さん著)
新星出版社
2024年12月2日発売
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とくに、世界の肉じゃが(風)料理ついての考察が秀逸。内容によると、どうも肉より、じゃがいもがキーワードになるようです。
今回、マレーシアのニョニャ料理のひとつ「アヤム・ポンテ」(*アヤム・ポンテの詳細はこちらのページへ。豚版のバビ・ポンテを紹介しています)の取材協力をさせていただいたのですが、たしかに考えてみると、日本でおなじみのじゃがいも、マレーシアの伝統料理にはほぼ使いません。そういう意味でも、じゃがいもをメインの食材として使う「アヤム・ポンテ」は、オランダやポルトガルの西欧占領下時代にマラッカで発展したニョニャ料理らしさが出ている、といってよさそうです。
そうそう、肉じゃがとは離れますが、じゃがいもつながりで発見がありました。マレーシアはカレー天国で、多彩なカレー文化はインドルーツなのですが、マレーシアのチキンカレーにはじゃがいもを加えるのがポピュラー。ところが、インド本国ではじゃがいもを加えるカレーはあまりないそうで、ふむふむ…。すると、マレーシアのチキンカレーは、インド伝統のレシピから、宗主国であった西欧の影響をうけて変化した、といえるかも、です。ちなみにマレーシア人はカレーを作る際、スパイスをあらかじめmixしたカレー粉をよく使います。これも西欧の影響なのかも、です(今後検証したい)。
話しは戻って、本の内容でもうひとつ。「レシピを進化させ続ける料理家のコラム」が記憶に残りました。母・娘・息子と続く3代の料理家が、それぞれの時代や好みに合わせた肉じゃがレシピを作っているところ。今まで、そんな視点でレシピを見たことが無かったので新しい発見。あらためて、レシピは食の歴史書なのだな、と実感です。
来年2025年は、マレーシア料理を食べていただく会をやってみようと思っています。「アヤム・ポンテ」のような日本人好みの味で、マレーシアの歴史を反映してる料理、メニューにぴったりかも!