【All About Web】 マレーシア 2013年10月31日配信
マラッカ特産の砂糖「グラ・マラッカ」は、黒砂糖のような深いコクのある甘みが特徴。マレーシア伝統菓子のクエダダ、チェンドル、オンデオンデには必ず使われています。また、和食に使ってもおいしいので、料理好きならお土産としてもオススメ。今回はグラ・マラッカの製造工程を密着レポートします。
マレーシア菓子の味の決め手、「グラ・マラッカ」
マレーシアのお菓子作りには欠かせないグラ・マラッカ。グラとは砂糖のことで、マラッカ特産の砂糖です。椰子の樹液を煮つめたパームシュガーで、深いコクのある甘みが特徴。まるで醤油のような奥深さがあり、たとえるなら、みたらし団子のタレにも通じる味わいです。料理好きの方は、お土産にどうぞ。アジア料理だけでなく、肉じゃがやすき焼きなどの和食にも使えます。先日、グラ・マラッカの工場見学に行ってきましたので、今回はその様子をレポートします。
一面に広がる椰子の木々のなかに工場発見!
屋根だけの工場。大鍋が火にかかっているので、工場内は灼熱
マラッカ中心地から車で約30分。中心街の喧騒とはまったく異なる、椰子の木々が生い茂る自然豊かな場所。舗装のない砂利道をどんどん奥に入っていくと、壁がないトタン屋根だけの小さな工場が現れました。
オーナーはマラッカ出身のオスマンさん
オスマンさんは、グラ・マラッカ工場だけでなく、パームオイル工場も経営
案内してくれたのは「Impian Bersama Enterprise」社長のオスマンさん。6年前にパームオイルの工場を立ち上げ、4年前にここグラ・マラッカの工場をスタート。油と砂糖はマレーシア政府が価格を統制している品なので、売上の価格変動は無くて安心、とのこと。また、オスマンさんの作るグラ・マラッカは、マレーシア国内の流通だけでなく、ブルネイ、中国、インドネシアにも輸出しています。
椰子の樹液を使うことで、甘みにコクを足す
天然の竹筒にグラ・マラッカを流し込んでいる工程。そうすると、円柱状にかたまる
グラ・マラッカとは、椰子の樹液を煮詰めて作る砂糖。タイやインドで使われているパームシュガーと同じものです。樹液そのものにコクのある甘みがあり、これがグラ・マラッカ独特の風味を生みだします。ただ、ここの工場では純度100%のグラ・マラッカは作っておらず、白砂糖とミックスして製造していました。
グラ・マラッカの製造過程
作る工程はまず、かまどに薪の火をくべ、直径1メートルほどの大きな鉄鍋で大量の白砂糖と水を溶かします。大きなお玉でかき混ぜながら、ぐつぐつとしばらく煮ます。
どろどろの状態に溶けたら、生絞りのココナッツミルクと、グラ・マラッカの決め手である椰子の樹液を加えて、またさらに煮詰めます。
ここの工場では、ペースト状の椰子の樹液をインドネシアから輸入していました。オスマンさんによると、マレーアでは樹液のとれる椰子の木が年々少なくなってきており、インドネシア産のペーストのほうが安価とのこと。1ヶ月に3トンの量を購入しているそうです。
しっかり溶けたら、竹筒に入れて固めます。グラ・マラッカを購入した人はご存知と思いますが、グラ・マラッカの形状が色々あるのは、天然の竹筒のサイズが一様ではないため。
10分ほどで固まります。まだやわらかいので、慎重に竹筒をスッと上に抜いていきます。これができたてほやほやのグラ・マラッカです。冷やし固め、包装します。この一連の工程は約2時間で、1日に4回作業をします。
グラ・マラッカの商品
これが販売しているもの。かなり固いので、使うときは包丁で削るか、水に溶かしてシロップにする
ちなみにオスマンさんの工場では、椰子の樹液を加えないココナッツミルクと砂糖のみのグラ・マラッカも製造。これは中国のスターバックスで使われているそうです。
自然界にある薪を燃料として使い、グラ・マラッカをかためるための容器の天然の竹。電気や機械は一切使わないエコ満点の工場で、スタッフの手作業で成り立っていました。グラ・マラッカを味わうことがあれば、この工場の様子をどうぞ思い出して下さい。
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■IMPIAN BESAMA ENTERPRIS
住所:Lot 432-2,KM8, Jalan Bakar Batu, Kandang, 75460 Melaka,
TEL:+60(6)268-4868
※一般の見学は基本的に受付けておりません。
※対応はおもにマレー語なります。
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