マレーシア料理図鑑46/おやつ/中級★★★★/マレーシア料理の奥深さを知りたい人/
全土で人気の伝統菓子で、もっちり食感のもち米と、甘いココナッツクリームの相性は抜群! 写真は、マレーシア人のご自宅で一緒に作ったもの
クエ・スリムカを解説
緑と白のツートンカラーのおやつです。
緑の部分は、クリーミーでやわらかいココナッツクリーム。緑の素であるパンダンリーフのいい香りがかむごとに鼻にふわっと抜けます。白の部分はもちもちのご飯で、ツートンカラーのかわいい見た目ながらも、小腹にドンとたまるパワー系おやつ。
家庭でもよく作られていて和菓子でいうなら、おはぎのような存在。だからなのか、日本人の私でも親しみを感じる味です。
クエ・スリムカをいろいろ見つけてみよう
もち米部分が青色で彩られている特別バージョンがあります。バタフライピーの花で色付けしたもので、マラッカ発祥のニョニャ菓子の印です。クエ・スリムカはもともとニョニャ菓子として考案されたことに由来します。そのほか、椰子砂糖味やドリアン味のココナッツクリームなど、進化系クエ・スリムカが登場しています。
クエ・スリムカを初めて食べる人へ
もちもちご飯のおやつで和菓子にも通じる食べやすい味です。ただ、もち米が固まってしまうため、おいしく食べるには、調理後6時間以内という説があるほど究極の生菓子。買ったらすぐに食べるのがポイントです。
ちなみに、名前の意味はクエ Kuih は菓子(おやつ)全般、スリ Seri はキラキラ光る、ムカ Muka は面や顔。つまり、断面がキラキラ光る綺麗な菓子という名前です。
大きめの菓子専門店で販売しています。
ミニエッセイ「誇りと本気度」
1970年創業、ペナンにある人気の菓子店「モーテン・ピョウ」。この店の構造はとてもユニーク。お客さんは調理場の中を通って販売コーナーへ、という造りになっている。トレーに入った蒸し立ての菓子を眺め、職人が真剣な表情で作業する脇を通り、できたての菓子を購入するという贅沢さ。そして、もうひとつ感じるのは、隠しごとを一切しない、という潔さ。調理場をすべての人に公開できるのは、この味はここでのみ作れる、という誇り。その本気度がとても好きだ。
Memo
かみしめるごとに広がるのは、お米のもっちりした食感にクリーミーなココナッツミルクのまろやかさ。アジアらしい南国の香りに包まれながらも、日本人のわたしもホッとする素朴な味わい。
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