今回紹介するのは「ルンダン」です。ルンダンとは、ハーブやスパイスでじっくり煮込んだ肉料理。ごろごろと肉の入った贅沢なおかずで、食卓に並んでいるのを見ると、「おっ、ルンダンがある! いいね~」とテンションが上がるもてなし料理です。
ルンダンにはスパイスがわんさか入っていますが、そのまとめ役であり、味の核ともいえるのが、ココナッツ。果肉のしぼり汁ココナッツミルクと削った果肉の両方を使い、まろやかで、あとをひくコク深さに仕上げます。
具のお肉は、牛、羊、鶏の3種。牛肉は、おもに結婚式やお祭りなどハレの日の特別料理で、ふだんよく食べているのは鶏肉のルンダンです。
ということで今回紹介するのは、東京にあるマレーシア・ルンダンのおすすめ店、荻窪の地下に潜む「馬来風光美食」です。マレーシア人のオーナーシェフ、エレンさんが作るルンダンは絶品です!
エスニック好きが集まる荻窪の名店「馬来風光美食」のルンダンはニョニャ式
馬来風光美食の「チキン・ルンダン」1,200円(税込・予約をおすすめ)。骨からすっと身がほぐれるほどやわらかく煮こまれた鶏の手羽元。ソースはココナッツの風味豊か。
この店のチキン・ルンダンはニョニャ式です。ニョニャとは、中国からの移民と現地の女性が結婚してうまれた食文化。エレンさんのお母さんがニョニャのルンダンを得意とし、エレンさんも同じ味を15年ずっと作り続けています。
特徴は、スパイスの豊かな風味がしみた鶏肉。そして、深いコクのなかに、華やかな味わいがあること。これは、酸味のあるタマリンドのしぼり汁を加えているためで、いくらでも食べられそうなバランスの良さ。
また、現地のルンダンはソースがあまりないドライタイプが多いのですが、ここはグレービーソースが多め。カレーのようにご飯にソースをからめていただけるのもニョニャならではです。
朝仕込んで、その日のうちに売り切っておしまい。煮込み料理なので翌日に提供してもいいのでは? と聞くと「香りがおちるのでダメよ。それに、フレッシュさも大事なの」とエレンさん。
辛さはひかえめなので、もっと辛くしたいなら、注文時に伝えてみてください。また、牛肉のルンダン1,500円(税込・要予約)もぜひ。濃厚な味わいにノックアウト間違いなし。
エレンさんのルンダンが家でも味わえる!
さて、荻窪まで行けない……という方に朗報! 昨年(2017年)12月に、馬来風光美食のチキン・ルンダンが、レトルト商品として販売開始。これがびっくりするほど再現性が高いんです。
鶏の手羽元はほろほろにやわらかく、ココナッツの豊かな香りに、シャキシャキの果肉の食感。これ、店で食べるのと同じですね! と驚いていると「当たり前よ~。だってお店で作っているのと同じレシピだもん」と笑いながらエレンさん。
この商品は、馬来風光美食の店でも買えるので、帰りにお客さんが買っていくことも多々。とくにマレーシア人はまとめ買いをするそうです。
ルンダンは、日本ではインドネシア料理として語られることが多いのですが、マレーシアでもとってもメジャーな料理。きっと、おいしい料理は、国境なんて関係なくて、あっちでもこっちでも自然にファンが増えていくもの。それだけルンダンがおいしい、ということなんです。
ルンダンを食べたことがある人もない人も、ぜひ、荻窪のひと皿を味わってみてください。
馬来風光美食(まらいふうこうびしょく)
所在地 東京都杉並区天沼2-3-7 SAKAIビルB1F
電話番号 03-5938-8633
営業時間 18:00~23:00(土・日 16:30~23:00)
定休日 月曜
アクセス 中央線荻窪駅北口から徒歩5分
http://malayhu-ko.com/
文・撮影=古川音(マレーシアごはんの会)
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