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Report 「ハラルと日本」シンポジウムに参加して

2011.11.24

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NEC_0628.JPGエジプト国立アズハル大学シャリーア学部で学び、論文を多数発表している武藤教授1月22日(火)、社団法人日本マレーシア協会の主催で、「ハラールと日本」を考えるシンポジウムが六本木にて開催されました。メイン講演は、拓殖大学のイスラーム研究所客員教授である武藤英臣さん。また、以前『ハラル焼肉レストラン』の取材でこのHPに登場して下さったマレーシアハラルコーポレーション代表取締役のアクマルさんが、意見発表をされました。

マレーシアで4年住んでいた私にとって、ハラルという概念はとても身近なものでした。スーパーではハラルマークのついた肉が売られ、市場の豚肉売り場は人目のつかない端っこにひっそりとあり(中国系のマレーシア人でにぎわっていますが)、お酒を使う料理の多い和食はハラールでなく、ポークフリー(豚は使っていませんよ、という意味)と明示されること。ほかにも、日本製の化粧品、整髪料はアルコールを使っていることが多く、ハラルの認証をとることができない、という企業の声を取材でよく聞きました。

イスラムを国教とするマレーシアは、ハラルという概念が生活に根付いています。武藤教授が「なぜそう決められているのか?どうしていけないの?というハラルについての質問はナンセンス。神が決めたことに理由はないのです。そして疑わしいものもすべてハラーム(ハラルの反対でダメなもの)となりNGなのです」とおっしゃっていましたが、まさしくそのとおりです。

アクマル社長によると、世界の人口の約1/5に値する20億人はイスラム教徒。そのイスラム教徒が、共通の共同体として、ハラルというルールを守っている。2025年には世界人口の1/3を占めるという説も。

そこで、日本もハラルという概念を学び、「日本ブランドをハラル製品として売り出そう!日本をイスラム教徒の人たちにも開かれた市場にしよう」というのが今回のシンポジウムの趣旨。武藤教授は、日本企業が置いてきぼりされないよう(実際、中国やアメリカは政府が力を入れている)、活動されており、また、アクマル社長は日本ブランドの象徴である『和牛』をインドネシア(ムスリム人口97%)のハラール認証を取ろうと取り組んでいらっしゃいます。

ハラルとは、
1.赤ちゃんの頃から、これはいい、これはダメと教わるルール。体で覚えるもの。
2.ムスリムの人たちが、いちばん手近にできる信仰体現。
3.ハラルであり、かつ、健康的、環境にいい、というダイエブの概念も必要。
4.ハラルであるか、ないかは、イスラム教徒の人しか判断できない。

そして昨今、ハラル世界のリーダーシップを取ろうとしているのが、インドネシア、マレーシア、トルコ3か国。人口の97%をイスラム教徒が占めるインドネシアと国教としてイスラム教徒を掲げるマレーシアはハラル認証の信用度が高いのです。

今回のシンポジウムは、わたしが今まで体で感じていたハラルという感覚を、頭の中の言葉にしてくれた、とても有意義なものでした。

武藤先生の「ハラルとは体で覚えたもの」という言葉。アクマルさんの「ハラルの街づくりをしたいなら、マレーシアに行ってみてください。そしたら分かります」と呼びかけていたこと。その言葉からも、本気でハラールを学びたいなら、マレーシアで体感してみてほしい、と切におもいます。

なぜなら、マレーシアという国は、ハラルとハラルでないものが、同時に存在していて、お互いに認め合い、融合している、とても稀有な国だから。ハラルで暮らすムスリムの人と、豚肉が大好きな中国系の人が同じオフィスで仕事をし、屋台の同じテーブルでお茶を飲んでいる。そのためムスリムになじみのない日本が学ぶべきこと、学べることがたくさんあります。マレーシアって、知れば知るほどハマっていきますね。

こちらがハラル焼肉レストラン
http://studiohoward.com/site/